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長野県御代田町 同和事業のあり方があまりにも歪んでいる

御代田町第3回定例会会議録
平成18年 9月19日(火)

http://www.town.miyota.nagano.jp/gikai/kaigiroku/kaigiroku060919.pdf
〇8番(茂木祐司君) 8番、茂木祐司です。
私は日本共産党を代表して、議案第59号 平成17年度一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論を行います。
まず最初に指摘しておきたいことは、町の財政状況と町民の暮らしに対する町長の認識についてであります。
 いま、自民・公明政権による地方切り捨てと、国民への新たな負担増の計画が、次から次へと推し進められています。17年度の決算にもこのことが大きく出てきています。景気浮揚策として実施されてきた定率減税の廃止では、17年度には所得税の部分が廃止され、18年度は住民税の減税額が2分の1に縮減されたことで、町内の6,250人が増税となり、全体で2,600万円の負担増となります。
定率減税は来年度には完全に廃止ですから、更に大きな影響が予測できます。65歳以上で所得が125万円以下の方への個人住民税の非課税措置の縮減・廃止、公的年金等控除の見直しとあわせて、老齢者控除が廃止されたことで、これまで非課税だった方も納税しなければならなくなり、町民600人が増税となり、全体で1,260万円の負担増となります。配偶者控除による非課税措置が17年度から段階的に廃止され、これによる影響は町民1,600人が増税で、全体で240万円の負担増になります。
これら国による税制の改悪によって、単純に計算すると、町民8,450人に影響が出て、新たな負担増は4,100万円にもなります。
さらにこうした増税によって、所得の区分で料金を算出している国保税、介護保険料、保育料なども自動的に引き上げられることになります。
また、固定資産税も引き上げられます。18年度の補正予算案を見ると、6月議会で改定された固定資産税の負担調整により、全体で新たに1,257万円もの負担増になっています。こうした町民への新たな負担増が、町民の所得が増加している中でのものならばまだ納得できますが、そうではありません。
町民の所得が減少している中での増税というところに深刻な内容があります。
例えば、国保の所得別の加入者数の動向を見ると、総所得が100万円以下の世帯は、前年比48世帯増加して、1,166世帯、200万円以下は39世帯増加して、622世帯、400万円以下は5世帯増加して、462世帯です。国保に加入している約2,800世帯のうち、年収が400万円以下の世帯は、実に2,250世帯で、全体の約8割にもなっています。低所得者が更に増加している中での増税であり、格差のいっそうの広がりと貧困層の更なる増大に拍車をかけるもので、これでは町民の暮らしは根本から破壊されてしまいます。町民の命と健康にとっても、重大な状況が進行しています。国保税の相次ぐ値上げで滞納者が増加し、1年以上の滞納者は244世帯、そのうち、保険証が取り上げられて資格証明書の発行は、105人に上っています。保険証が取り上げられてしまったら、病院にも行くことができません。どうやって生きていけばいいというのでしょうか。
町長は議会招集のあいさつで、17年度決算では自主財源が伸びたことを成果の1つとして強調しましたが、自主財源の伸びとは、まさに町民への負担増と一体のものであります。確かに町の財政は実質公債比率が10.8%で、県内の低い方から6番目という、誇れる財政状況になっています。基金の積立も、特定目的以外の基金では、総額で17億3,000万円に上っています。17億円余の基金は、町民1人当たりにすると、12万4,000円。4人家族の世帯では48万6,000円の貯金をしている計算になります。17年度に財政が厳しいので予算が組めないとして予定していた約3億円の基金の取り
崩しが必要ありませんでした。こうした町の財政状況と比較して、町民の暮らしはどうでしょうか。商工業者や農家の経営はどうでしょうか。町の財政状況を数字だけで見るのでなく、町民の暮らしの実態から見る必要があります。町民の暮らしが豊かになってこそ、町の活力の真の力ではないでしょうか。低所得者層の町民が増加している現状で、町の発展につながるでしょうか。政府は、今後もサラリーマン増税などを次から次へと計画しており、町民生活の影響は、きわめて大きなものがあります。私は町民に負担ばかりを押しつけるいまのやり方に、明るい未来はないと思います。そういう意味で、税金の使い方が問われているのであります。


17年度一般会計の決算に反対する主な理由は、町の同和事業のあり方があまりにも歪んでいるからです。

今回の議会の中で、町側との議論で、その歪みが更に深刻なものとなっていることが次々に明らかになりました。その1つが同和教育集会所の委託管理費で、年間23万5,200円。部落解放同盟御代田町協議会に委託されているものです。これは2004年6月議会で、それまで町職員が維持管理をしていたものを、シルバー人材センターの単価で部落解放同盟の委託に移したものです。ところが実際には、委託後も町職員が庭の芝の管理を行っていたことが明らかになりました。担当者もその事実を認めました。この問題で、総務文教常任委員会の審議の中で財政担当の課長から、委託とは町との契約で行われており、もし契約内容と違うようであればふさわしくない、という内容の答弁がありました。しかし、人権同和対策課では、これを改めようという姿勢にはなく、今後も協力していくと答えました。
次に、部落解放同盟の中の一組織である、解放子供会で毎年実施している研修は、わずか15人ほどの子どもたちが参加するにすぎない研修ですが、その下見のために職員2名と部落解放同盟の書記長の3人が、旅費として5万2,800円もの予算を使い、更に研修の当日には、3人の職員が引率のために参加しています。解放子供会の研修は、その費用のすべてが補助金として出ており、その総額は24万2,000円です。
しかし、一般の場合はどうなっているかというと、18年度の補正予算案の中に課外活動補助金という名目で49万5,000円が計上されていますが、これは御代田南小学校の金管バンドクラブが東海大会に出場が決まったということで、62人分の子どもたちの交通費と宿泊代の2分の1を補助する内容です。同和の関係では15人の子どもの旅費と宿泊代で24万円が使われ、一方では62人分の子どもの交通費と旅費は2分の1の補助で50万円です。同じ子どもたちなのに、なぜこれほどの格差があるのでしょうか。
今回、私が問題にしたのが、解放子供会の研修のための補助金とは別に、博物館等入館料として6万8,300円が支出されたことについてですが、補助金というものは本来、その金額の範囲内で研修を行うもので、不足した分については個人負担とするのが常識的な内容です。ところが、今回の場合には不足分まで予算から支出したわけです。
総務文教常任委員会でなぜこうなったのか説明を求めましたが、更に矛盾を深めるものとなりました。それは6月1日に研修の下見を行ったにもかかわらず、愛知万博に行くように計画を変更したのは、6月の中旬という説明でした。そうなると、何のための下見だったのかということになります。この下見は全く必要ないものではなかったのか、このことが明らかになりました。
更に、旅費に対する補助金について、財政担当の課長の答弁は、本来補助金の範囲で事業を行うべきで、不足分は個人負担とすべきもの、しかし、特別の緊急性があった場合には、不足分の支払いもあり得るというものでした。一体どこに愛知万博に行くことが緊急性を要するものでしょうか。説明がつくものではありません。 私がこれまでこうした不透明な税金の使い方を指摘すると、町はすぐに人権や差別、部落解放同盟への協力というような考え方について述べてきましたが、同和事業のこうした不透明な予算の使い方の内容は、人権とか差別とか、そういうレベルで起きているのではありません。町として決めている条例とか要綱とか財政支出のあたりまえのことが守られていないし、特別扱いにほかならないということです。例えば今回の愛知万博の入場料の支出について、仮に計画を変更した申し出があったとしても、役場の担当者としては、補助金の支出の規定から見て不足分は参加者の個人負担でお願いしたいと言うべきではないでしょうか。それが役場職員としてあたりまえの対応だと思うわけです。
なぜそれが同和事業に限ってここまで曖昧にされるのでしょうか。
私はここには一職員の対応の問題ではなく、町長の同和事業に対する重大な責任があると考えています。町長の姿勢が最大の問題点です。同和事業に対する予算の支出は年間5,000万円ですけれども、こうした不透明な税金の使い方を続けている限り、町民の納得も信頼も協力も、得ることはできません。以上のことを指摘しまして、本決算認定に対する反対討論といたします。

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