« 国連「障がいのある人の権利条約」の国内法整備の課題 | トップページ | ネットの削除要請33件 »

滅私奉公型「教育再生」 拙速

私立校関与、与党が条件付きで了承 教育関連3法案
2007年03月29日13時58分

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200703290180.html

 自民、公明両党は29日、教育関連3法案を了承した。このうち地方教育行政法改正案をめぐっては、教育委員会による私立学校への関与について「教委が知事に助言または援助を行う際、私立学校の自主性を尊重する」、文部科学相による教委への関与について「指示することが必要な緊急時には、首長も教委に支援等を行うことが必要」との2点を国会答弁などで確認することを条件に了承した。

 これを受けて政府は30日に同改正案と学校教育法改正案を閣議決定し、すでに閣議決定した教員免許法改正案と合わせて同日中に3法案を国会に提出する。

 地教行法改正案では、教委が私立学校の運営に関与できるように「知事が必要と認めるときは教委に助言・援助を求めることができる」との文言が盛り込まれた。これに対し、公明党が「私立学校の自主性が損なわれかねない」と懸念を示したため、「知事は私立学校と協議し、教委は私立学校の自主性を尊重する」ことを(1)国会での文科相答弁(2)法案の付帯決議(3)改正法の施行通達――の3段階で確認するとの条件をつけた。

 また、同改正案では、いじめなど児童・生徒の生命、身体の保護のため緊急の場合に限って「文科相が教委に指示ができる」との文言も盛り込まれた。これに対し、公明党が地方分権を重視し、「文科相が指示を出す時には、任命権者の首長も同様に指示を出せるようにすべきだ」と主張した。だが、自民党が難色を示し、首長について「支援等を行うことが必要」との文言を、私立学校の自主性と同様に国会答弁などで確認することで折り合った。

 同改正案はこのほか、教育委員に保護者を入れることや、教委が自らの事務の執行状況を毎年評価して公表することを義務づける。

 学校教育法改正案は、昨年改正された教育基本法を踏まえ、義務教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度」などを盛り込んだ。教員免許法改正案は、現在は一生有効な免許の有効期間を10年とし、講習を受けないと失効する教員免許更新制を09年度から導入する。


道徳、「教科」に格上げ案 教育再生会議分科会が提言へ
2007年03月30日03時04分

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200703290334.html

 政府の教育再生会議は29日の学校再生分科会(第1分科会)で、「道徳の時間」を国語や算数などと同じ「教科」に格上げし、「徳育」(仮称)とするよう提言する方針を決めた。「教科」になれば、児童・生徒の「道徳心」が通信簿など成績評価の対象になる可能性があるうえ、教材も副読本でなく教科書としての扱いとなって文部科学省の検定の対象となりうる。ただ、反対論も予想され、再生会議での議論は過熱しそうだ。

 再生会議の1月の第1次報告を受け、政府は30日に教育関連3法案を提出する。5月に予定する第2次報告は法制改正によらない具体策も打ち出す方針で、道徳の教科化を盛り込む考えだ。参院選に向け「安倍カラー」を鮮明にするうえで政権側が後押しする可能性もあるが、第2次報告にどのような形で盛り込まれるかが焦点になる。

 第1次報告では「我が国が培ってきた倫理観や規範意識を子供たちが確実に身につける」と提言しており、再生会議で充実策を検討してきた。

 29日の第1分科会後に記者会見した副主査の小野元之氏(元文部科学事務次官)は「道徳を教科としてしっかり教えるべきだ、ということでおおむね(分科会の)合意が得られた」と述べた。「授業時間数を増やそうということではない」(小野氏)が、高校でも教科にすることを想定しているという。

 また、主査の白石真澄氏(東洋大教授)は、成績評価の対象になるかどうかについて「議論していない」としながらも、「教科になるということは、いま絶対評価で1~5と成績がついているので将来的には成績判定がなされると思う」と語った。ただ、白石氏は「戦前の修身のように先祖返りするのではなく、人としてどのように生きるか、他人をどう思いやるか。命あるものを尊重すること(を教えること)で環境教育にもつながる。全体主義になったり、右になったりするわけではない」と強調した。

 一方、再生会議を担当する山谷えり子首相補佐官は、成績評価について「(徳育は)知識だけでなく、心のありようなので、1~5で評価できるかどうかは今後、十分議論されていくだろう」と述べるにとどめた。

 文科省教育課程課によると、現在の学習指導要領上の「教科」は原則として評価の対象になっているが、必ず対象になるとは決まっていない。

 再生会議が徳育を教科に格上げするのは「道徳の時間は取られているが、きっちり行われているかというと、先生方も熱心でない方もいるし、教材も充実していない」(小野氏)との現状認識からだ。現在は教育委員会が刊行した読み物資料などが使用されているが、小野氏は「教科にするメリットは、教科書をきちんとつくって規範意識や道徳心、規律を教えていくこと」と述べている。


教員給与の優遇「維持を」 中教審が答申
2007年03月29日23時17分

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200703290306.html

 教員給与のあり方を論議してきた中央教育審議会は29日、一般公務員より優遇する根拠となっている「人材確保法」を堅持すべきだと、伊吹文部科学相に答申した。伊吹氏は「答申の線に沿って、財務当局と合意を作りたい」と述べた。

 教員給与をめぐっては、昨年成立した行政改革推進法で「人材確保法の廃止を含めた見直し」が盛り込まれ、優遇分に相当する給与の2.76%の削減で政府・与党が合意している。しかし、伊吹氏は「2.76のカットはやらなければならないが、別途2.76を要求することや、2.76を上回る予算要求をすることも可能」と述べ、08年度予算の概算要求では実質的に現状維持以上を求める考えを示した。

 人材確保法の優遇部分の削除は、財務省が07年度からの実施を主張していたが、伊吹氏と尾身財務相が昨年末、1年先送りすることで合意。文科省が優遇の実質維持を主張すれば、財務省が反発する可能性は高い。

 中教審は答申で「教員の職務の重要性を考え、安定的に優秀な人材を確保していくためにも、人材確保法を堅持することが必要」と指摘。政府が「真摯(しんし)に対応」することを求めた。さらに、副校長や主幹、指導教諭などの職や勤務実態に応じた処遇とし、給与にメリハリをつけることも求めている。


教育立て直し(3) 学校をもっと風通しよく
http://www.shinmai.co.jp/news/20070328/KT070323ETI090002000022.htm
信濃毎日新聞

3月28日(水)

 間もなく新学期。新たな学年の始まりとともに、PTA活動も始まる。このPTA。役員になるのがわずらわしいといった風潮が強いのはなぜだろうか。

 小学校のクラス役員を務めた母親は「学校に質問したり、要望してもなかなか答えが返ってこない。その繰り返しばかりだった」と話す。

 子どもと教師にトラブルがあった時、事情を聞くと教師は「申し訳ありません」と謝るばかり。どう改善するかを聞きたいのに、具体的な答えはない。校長に相談に行っても、「先生にみなさんの声を伝えてください」と言われただけだった。

 別の小学校で役員を務めた母親は、不登校が多いある学級について校長に相談に行っても、子どもたちの様子を見にも行かない姿勢にがっかりしたことがある。

   <対等な関係のはずが>

 意見を出しても答えが来ない。PTA役員になってもやりがいがない。先生はいじめに対応できない。学校に何を言っても無駄-。学校への不満が年々、親たちの間に積み重なっているように見える。

 PTAは、戦後まもなくもたらされた。米国教育使節団の報告書や極東委員会教育改革指令で、学校に保護者と教師の会の設置を求めている。民主主義教育を推進する役割を期待したものだ。

 連合国軍総司令部(GHQ)の指導を受け、文部省(当時)の「父母と先生の会委員会」が作った手引には「先生が中心となった会ではなく、先生と父母が平等な立場に立った新しい組織を作るのがよい」とある。(社団法人日本PTA全国協議会の資料による)

 戦後60年余り、学校と保護者は平等な立場でいい関係を築いてきたのか。むしろ、意思疎通が不十分で、いびつな対立をも生んでいるのではないだろうか。

 学校も保護者への不満を募らせる。大阪大の小野田正利教授が2005年に行った調査では、約8割の学校長が無理難題を言う保護者が増えたと実感している。

 子どもが石でガラスを割ったのは、石があるのが悪い。義務教育だから給食費は払わない-。こんな理不尽な声も寄せられる。さらに、学級の問題を頭ごなしに教育委員会に持ち込むケースも増えている。

 このままでは、学校と保護者の不信が深まるばかりだ。ここをなんとかしなくては、教育が抱える問題は解決できない。互いの意見をキャッチボールし、学校をよくする手だてを考えていく必要がある。

   <評価制度を生かすには>

 「信頼される開かれた学校づくり」を目標に、2002年度から学校評価制度が始まった。

 昨年春に文部科学省が公表した学校評価のガイドラインは、自己評価と保護者らでつくる委員会による外部評価を柱とする。教育目標や生徒指導、安全管理、保護者との連携など多岐にわたる項目がある。

 ほぼすべての学校で、評価制度は取り入れられている。ただ、大半の学校で評価は1年に一度で、年度途中の見直しや改善にはつながりにくい。総合的な評価はできても、個々の問題に、外部の声を取り入れながら柔軟に対応するのは難しい。

 結果の公表も学校通信など保護者向けが主だ。ホームページなどで発信する学校は半数にも及ばない。

 ここが工夫のしどころだ。

 長男を私立中学に進学させた母親は、親の要望が学校に伝わる手応えを感じている。通学にかかわる希望や、宿題の量などの要望を出すと「これから職員会で話し合います」「学校だけでは決められないので、関係機関と検討します」といった反応が返ってくる。

 親や子の声を受け止め、学校は改善した結果を公表する。こうしたやりとりが、学校への信頼感を育む。学校評価やPTAの仕組みをもっと生かすことを考えたい。公立、私立にかかわらず、工夫次第で迅速な対応ができるはずだ。

   <国の管理強化でなく>

 文科省は昨年9月から、教育専門家らによる第三者評価の試行を始めた。学校が提供する教育の水準、生徒・進路指導など18項目について、5段階で評価する。いずれ全国に広げていく。

 政府の教育再生会議は、「教育水準保障機関」(仮称)による学校評価を提案している。

 全国一律の基準で評価を強めようとする動きは、国が学校や教員を統制するためのものだ。学力テストの結果など数値で評価できるものさしが優先され、学校間の競争や選別を進めることにもなる。

 公教育を再生するというならば、どの子も身近な場所で、質の高い教育を受けられるようにするのが目指すべき方向だ。そのためには、国の管理を強めるより、保護者や地域の人が学校にもっとかかわれる仕組みにする方が先である。

 子どものことは学校に任せろ、では問題は解決しない。保護者の「無理難題」から、家庭が抱える問題が見えてくることもある。保護者の声を聞く専任者を置くくらいの、風通しのよさを学校に求めたい。

|

« 国連「障がいのある人の権利条約」の国内法整備の課題 | トップページ | ネットの削除要請33件 »

つれずれ」カテゴリの記事