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発信者情報開示にいたる流れとは

「DQN」で実名開示も?悪質書き込み対策で業界ガイドライン

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba002026022007

 これからはネットに「DQN」と書き込んだだけで実名を開示されてしまう?――。インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)業界団体などで組織する「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」は26日、名誉毀損などの書き込みをした人の個人情報を被害者に開示する手順などをまとめた「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」を発表した。どの程度踏み込んだ内容になったのか、策定の経緯などをまとめた。

■プロバイダ制限責任法に基いたガイドライン

 「よく誤解されるが、このガイドラインは新たに発信者情報の開示をプロバイダーに義務付けるものでも、新たな規定を示すものでもない。あくまでも2002年に施行された『プロバイダ責任制限法第4条』にのっとり、その法律で決められている規定をわかりやすく示したものだ」。ガイドライン策定に関わったテレコムサービス協会サービス倫理委員会の桑子博行委員長は説明する。

 プロバイダ責任制限法第4条では、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害、商標権侵害などの権利侵害について、一定の要件を満たせば裁判で争わなくても被害者の請求により発信者の情報(氏名、住所、電子メールアドレス、情報発信時のIPアドレスなど)を開示できると規定している。しかしこれまでは、どのような場合に情報を開示できるのかという判例の蓄積がなく、プロバイダー側で判断するのが難しかった。情報を開示された発信者が逆にプロバイダーを訴えるという可能性もあり、実際に開示に踏み切るプロバイダーは少なかった。

 今回のガイドラインは、ネット上の権利侵害に関する判例が少しずつ出てきたことや、権利侵害の被害が増えている実情などを受けて、同協議会が06年秋から準備を進めてきた。

 策定にあたり一般から募集したパブリックコメントでは、プロバイダーのほか、弁護士や学校教諭などから57件の意見が寄せられた。その中には、「表現の自由などの権利に対し、一プロバイダ・管理人が判断していいのか」という意見が目立ったという。

 これに対し桑子氏は、「もともと法律の枠内としてあったもので、それに従ってガイドラインをつくった。裁判になると時間と労力がかかり、情報開示の請求をためらう人も多かったので、場合によってはプロバイダーの判断で速やかに対応できるように書式や手引きをつくった」と説明する。ガイドラインはあくまでもプロバイダ責任制限法法のなぞりにすぎないという位置づけで、「そもそもプロバイダーが個人情報を勝手に開示してよいのか」という議論は、ガイドラインではなく法律に問うべきだという。

■発信者情報開示にいたる流れとは

 発信者情報はどのように開示されるのだろうか。具体的な流れとしてはまず、権利を侵害された被害者本人か弁護士等の代理人がプロバイダーに対し被害内容などを書いた請求書を提出する。

 請求されたプロバイダーは次に、通報のあった権利侵害情報が実際にWebページ上にあるかどうかを確認する。書き込みを特定するための手がかりとしてガイドラインでは、URLやファイル名などとともに、「スレッドのタイトル、書き込み番号」を挙げている。巨大掲示板「2ちゃんねる」を想定したような記述だが、実際、2ちゃんねる関連の名誉毀損の判例は多く、入れざるを得なかったという。ちなみに、ガイドライン案に対し、2ちゃんねるからのパブリックコメントは寄せられなかった。

 プロバイダーが権利を侵害した発信者の情報を持っている場合、発信者に開示してもよいか確認を取り、同意が得られたら被害者に開示する。同意が得られない、もしくは連絡がつかない場合でも、権利が侵害されたと明らかに確認でき、発信者情報の開示をする正当な理由があると判断した場合に限り、情報を開示する。

■「名誉毀損」の判断は難しい

 ここで難しいのは、「権利侵害の明白性」をプロバイダーが判断できるかどうかだ。特に名誉毀損にあたるかどうかは、裁判所によって判例も違い判断基準もはっきり定まっていない。そこでガイドラインでは、「判断に疑義がある場合においては、裁判所の判断に基き開示を行うことを原則とする」と規定している。

 ガイドラインは参考として判例を何点か挙げており、中には「DQN」や「バカ息子」などの言葉を含む書き込みにより原告の社会的評価が低下した、と判断し情報の開示を認めた判例もある。ただ、名誉毀損にあたるかどうかは、単なる書き込みの内容だけでなく、ほかにもいくつかの要件を基に判断される。プロバイダーが判例をそのまま当てはめて正当な理由があると判断できるようなケースはごく少ないといえそうだ。

 テレコムサービス協会などISP業界4団体が06年11月に策定した「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」では、「『お小遣いくれればお茶してもいいよ byあけみ(16歳)』のような書き込みは削除してもいい」などの具体例を挙げ、プロバイダーが判断しやすいようにしていた。しかし、今回の発信者情報開示ガイドラインでは、著作権・商標権侵害の基準は明確に示しているものの、名誉毀損の判断基準は抽象的な表現に留まり、どのような場合に情報が開示されるかわかりにくい。

 「違法情報の削除は、できるだけ速やかに行われるのが望ましく、プロバイダーがこの書き込みは削除できると判断できるケースをかなり具体化して例示した。しかし、削除した情報はまた復元できるが、一度開示された情報はもう戻すことはできず、開示するにあたるかどうかはより慎重な判断が求められる」と桑子氏は説明する。

■ネット上のマナー向上に期待

 結局、裁判所の判断に委ねる点が多いなら、ガイドラインを策定するインパクトはあるのだろうか。桑子氏は、「同意を得ないと発信者情報の開示は行われない、などの誤解が一部にあるが、このガイドラインを通して、悪質な書き込みをしたら同意無しでも自分の情報が開示されることがあるということを認識してもらいたい」と、ユーザーへの啓発効果を望んでいる。「最近ではネットでのいじめが学校で問題になっているが、未成年でも開示の対象になることを知ってもらい、ネットいじめの抑制にもつながれば」としている。

2007年2月26日/IT PLUS


プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会

http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2007/20070110.htm
 
「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」

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