人権作文 書かすだけでなく内容背景から読み取る課題が
いじめ自殺の生徒の作文、市教委の公文書に
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/gakko/070204/gkk070204000.htm
埼玉県蕨市で平成16年に自殺した中学2年の女子生徒=当時(14)=が自殺前日に学校に提出した、いじめの苦しみをつづった作文が、両親の要望で同市教育委員会の公文書になり、情報公開の対象になった。
市教委は当初、自殺の動機は「不明」としていたが、昨年11月、「いじめが一因」と見解を修正していた。生徒の父親(46)は作文について「学校でのいじめに悩んだ娘の叫びを多くの人に知ってほしい。教育関係者にはいじめ防止に役立ててほしい」と話している。
作文は人権問題を考える授業の宿題で、400字詰め原稿用紙で4枚余り。「誰だって自分を否定されるのは嫌だと思うし、つらく悲しい」「もう世界中誰一人と私をこれから必要としてくれないのか」「イジメは自分をどん底まで沈める」など、いじめの苦しみを訴えている。自分が学校でいじめに遭っているかどうかは、直接的には触れていない。
女子生徒は16年6月、いじめを訴える遺書を残し、自宅マンションで飛び降り自殺。両親によると、同級生にゴキブリと呼ばれたり、異性への好意を告白するゲームを強要され悩んでいた。
市教委は、自殺原因の調査内容公開を求めた両親の要請を拒否していた。しかし、いじめが社会問題化する中で教育長らが昨年末、両親を訪ね、過去の対応を謝罪した。
(2007/02/04 01:10)
『地域で支え啓発活動』
自殺大国 8年連続3万人超の現実
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070131/mng_____tokuho__000.shtml
戦後六十余年。大きな騒乱もなく世界第二位の経済大国を維持し続ける日本だが、年間自殺者は三万人を超え交通事故死をはるかにしのぐ数字となっている。そんな中、秋田大学医学部が「自殺予防学」の創設に乗り出した。その中心人物、本橋豊教授(52)が考える処方せんとは? (竹内洋一、浅井正智)
――「自殺予防学」のカリキュラムを始める狙いは。
体系的に自殺予防に関する専門知識を獲得する場は今の日本にはない。新たな自殺予防学を構築し自殺予防のスペシャリストを育てることが狙い。医学だけではなく、社会学的な側面や生命倫理、地域づくりの視点など、生命科学と人文・社会科学を融合し研究する。
二〇〇八年度から試行的に大学院生の講義コースとしてスタート。〇九年度か一〇年度に修士課程を設置したい。対象者は医療関係者、福祉関係者、教育関係者、民間団体を想定している。全国の自治体で自殺対策の専門家として働くことも視野に入れている。
――日本では自殺者が年間一九九八年以来、三万人を超えている。国際的にみて多いのか。
〇五年の日本の自殺率(人口十万人当たり自殺者数)は二四・二人で、先進国の中でトップレベル。国家レベルの自殺対策をしている米国は一〇・四人、英国は七・五人です。
――なぜ、日本の自殺率が著しく高いのか。
九八年以降に増えた約七千人には無職者が多い。職場や地域からドロップアウトした中高年。格差の問題です。リストラされ失業した人、債務を抱えて倒産した中小企業の経営者、こういう人たちは、この十年ほとんど見放されていた。社会的に予防に取り組めば防げるはずだった。
■自殺率トップ秋田県で効果 許容の風潮除去も
――自殺率が三九・一人と日本で最も高い秋田県の自殺予防に携わり、重点的に取り組んだ町で自殺率が下がったそうだが、どんな対策が有効だったのか。
自殺防止、うつ病に対する啓発活動を行った。住民調査をもとに、うつ病の人には健康指導し相談先を記したリーフレットも配った。さらに八十歳のお年寄りが自殺するのは仕方がないという、自殺を許容する風潮の除去を試みた。
うつ病には死にたい気持ちが強くなるという症状がある。それを抑えられなくなってしまったとき、自殺すると医学的にはいわれている。だから多くは本当の自己決定ではない。
地域に対する人々の信頼感が重要。田舎も都会も、うつ病の患者や悩みを抱えている人を、みんなで何となく疎外しているところがある。患者は相談できなかったり陰口を言われたりする。それを地域で支え、みんなが一緒に生きていく形にできれば自殺率が下がる。
――秋田県で実践した自殺予防策は東京のような大都会でも有効か。
都会では啓発活動を中心にやっていかざるをえない。中高年もインターネットにアクセスするし、医療も充実している。啓発の仕方を工夫すれば、都会なりのやり方は十分にある。自殺対策をやっていくには、人に対する優しさがないといけない。死にたい人は勝手に死んでくださいということでは、どこでやってもダメです。
警察庁のまとめによると、自殺者は九八年から二〇〇五年まで八年連続で三万人を上回る非常事態が続いている。
動機では健康問題(46・1%)が最多で、次いで借金などの経済・生活問題(23・8%)、家庭問題(9・3%)などがくる。
年代別では六十歳以上が33・5%で、若い世代ほど構成率は下がるが、増加率では二十代5・0%、三十代では6・3%とほかの世代に比べて突出しているのが特徴だ。
アルコールの摂取量が多い人は自殺の危険性が高いというデータもある。
厚生労働省研究班が自殺した男性の飲酒習慣を調べたところ、日本酒三合(ビールで大瓶三本、ウイスキーでダブル三杯)を週一回以上飲む人は、月に二、三回飲酒する程度の男性に比べ、自殺の発生率が二・三倍だった。研究班の主任研究者、津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長は「たくさん飲酒することが自殺を行いやすい状況をつくっている可能性を否定できない」と話す。
自殺に至らないまでも、「心の病」に悩む人も増加している。財団法人社会経済生産性本部が昨春、全国の企業二千百五十社にアンケートしたところ、61・5%の企業が社員の心の病が増加傾向にあると回答した。〇二年の前々回調査の48・9%、〇四年の前回調査の58・2%と比較すると、急増ぶりが明確に浮かび上がってくる。
問題は心の病の原因がどこにあるかだ。アンケートによると、60・1%の企業で職場のコミュニケーションが減り、49・0%の企業で職場の助け合いが少なくなったという。
■自殺対策法 政府本気度に『?』
心の病の増加を抑えるためには「職場における横のつながりを回復し、一人一人が働きがいのある企業風土づくりが緊急の課題だ」と同本部は提言しているが、過労死・自死相談センター代表の上畑鉄之丞・聖徳短大教授(公衆衛生学)は「働く人にとって先の見えない社会・経済環境を国が意識的につくってきたことに最大の問題がある。自殺者や心を病む人が多い現状を改善するには、国の政策を構造的に変えていくしかない」と強調する。
かつて自殺者が急増したケースとしては、ソ連崩壊後のロシアがある。体制が崩壊し経済が破たんして、国民が将来の展望を失ったことが背景にある。もちろん社会主義だったソ連と現在の日本では状況は違う。しかし「社会と経済が激変し、働く人が展望を失ってしまったという点では似ていることが起きていると言える。こういう状況の下でうっかり再チャレンジしたら、かえってうつになりかねない」と上畑氏は皮肉を込めて言う。
心を病む人の受け皿が十分でないことも上畑氏は問題視する。
「心を病む人の状態は、その家族が最もよく状況を理解しているが、その家族にしてもどこに相談したらいいか分からない」
こうした現状を変えるべく登場したのが、昨年、議員立法で成立した自殺対策基本法だ。自殺を個人的な問題ととらえず、国や自治体、企業が自殺防止に取り組むべき責任を明記した。
しかし、上畑氏はこう疑問を投げ掛ける。
「どれだけ予算を組んで本気で取り組むかが問題だが、これから実際に何をすべきか戸惑っているのが政府の本音ではないか」
<デスクメモ> 古典に「幸福な家庭は皆同じだが、不幸な家庭はそれぞれ異なって不幸だ」とあるように、個人レベルでも“心の闇”の深さは違う。私も深夜、深酒し妻から「大丈夫?」と聞かれ、六歳の息子から「メタボリックうつ」との称号をもらっている。同僚デスクのモットーは“脱力主義”。これしかないかも。
借金苦の自殺 ストップ!
『必ず解決 まず相談』
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20070201/ftu_____kur_____000.shtml
借金の返済に行き詰まって自殺する人をなくそうと、多重債務者を救う活動をしている市民団体が「早く相談してほしい」と、懸命に呼びかけている。自殺の防止を図る自殺対策基本法が昨年10月に施行され、12月には政府が多重債務者対策本部を設置。今後は借金苦を原因にした自殺への対策づくりに弾みがつきそうだ。 (白井康彦)
「埼玉夜明けの会」の相談員として多重債務者からの相談に乗っている澤口宣男さんと吉田豊樹さんは一月十九日、山梨県富士河口湖町の青木ケ原樹海を約二十キロ歩き回った。「自殺の名所」として有名。二人はあちこちにバイクが乗り捨ててあったのを見て心を痛めた。「バイクで来て、樹海の中に入り込んでいき命を絶つのでしょう」
ともにかつては多重債務者。消費者金融やサラ金への返済ができなくなって自殺しようと思い悩んだ。吉田さんはズボンのベルトで首つり自殺を図って意識が遠のいたが、ベルトがプチンと切れて未遂で終わった。
「借金苦の自殺を何としても減らしたい」と、相談員仲間らと話し合う中で出てきたのが、樹海に「借金苦自殺防止」の看板を立てることだ。
埼玉夜明けの会と同様の活動を行う各地の市民団体でつくる「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」(被連協)の会長が澤口さん。同月二十日午前、被連協の関係者約二十人が樹海に集まって七本の看板立て作業を行った。
看板の文句は「借金の解決は必ず出来ます!」「私も助かりました」「まずは相談しましょう」。澤口さん、吉田さんと被連協副会長の橋詰栄恵さんの三人の名前で呼びかけ、被連協の電話番号「03・3255・2400」を載せた。看板の横には三人の体験記の冊子を数多く入れたビニール袋をつるした。
二十日午後には静岡市で被連協傘下の市民団体「静岡ふじみの会」の設立総会が開かれた。「富士見」と「不死身」。「死なないで」の思いも込めた会名だ。被連協は福井県坂井市の海岸にある自殺の名所「東尋坊」にも同じ看板を立てたい考え。二十七日には傘下団体の「福井まんさくの会」が設立された。
日本の年間自殺者数は警察庁統計によると、一九九八年に急増し、その年以降は三万人を超している。原因別では健康問題がずっと最多で、一万二千-一万七千人の範囲で推移している。二番目が借金苦を含む経済生活問題。九八年に急増して、〇二年以降は毎年七千人を上回る。
政府は自殺対策基本法にもとづき、自殺を減らす政策づくりを進めている。そんな中、多重債務者の救済運動を進める市民団体や法律家団体が強調しているのが、借金苦の人に解決法や相談先を教えることの重要性だ。
二十九日に開かれた政府の多重債務者対策本部有識者会議の初会合でも「弁護士会や司法書士会に加えて、各地の自治体も多重債務者からの相談に積極的に乗り、解決法などの住民周知に努めるべきだ」といった意見が相次いだ。多重債務問題に積極的に取り組み始めた自治体もある。
岐阜県は二十九日、県庁内関係部署の連携を図る「岐阜県多重債務問題対策会議」を発足させた。税金や国民健康保険料などを滞納する多重債務者は多い。その督促の担当部署が把握した多重債務者も相談窓口に誘導していく考えだ。
自殺対策:自治体に窓口、内閣府提案へ 行政の連携強化
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/stop/news/20070122ddm001010138000c.html
効果的な自殺対策を進めるため、内閣府の「自殺総合対策のあり方検討会」は、地方自治体に専門部署の設置を促す検討を始めた。自殺の要因は精神疾患だけでなく過労や多重債務、いじめなど多岐にわたる。しかし行政の窓口は障害福祉課など精神保健分野が多く、他分野との連携不足が課題となっている。このため同会は、6月にまとまる予定の自殺対策大綱の中に検討内容を盛り込むよう提案する方針だ。
内閣府の検討会は、国の大綱作りの参考にするため昨年11月に設置。中高年の自殺対策などについて、地域や職場、家庭など中高年の活動の場が幅広い点から、行政の対策は健康関係部局と労働関係部局などとの連携が大切と確認された。
しかし、縦割り行政で十分に連携した対応ができていない実情も報告された。知事直轄の形で自殺対策担当部署を設け、一体化した対策の推進が重要との考えが示された。国は既に昨年10月、内閣府に自殺対策担当を設置。関連省庁との調整などの活動をしている。
同月施行した自殺対策基本法は自殺対策を社会全体で取り組む課題と位置づけ、国と自治体に解決策を策定し実施する責務を課している。【玉木達也】
毎日新聞 2007年1月22日 東京朝刊
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