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「人権行政」に再構成では、問題の解決にならない

11月17日付・読売社説
 [奈良病欠職員]「同和行政から“事なかれ”を排せ」

 公務員のこんな法外な行為をなぜ許してきたのか。

 過去5年間に8日しか出勤しなかったのに、給与をほぼ満額受け取っていた奈良市の元職員が逮捕された。部落解放同盟支部長の立場を悪用して、市の入札制度改革を阻んだ職務強要の容疑だ。

 職員は診断書を出せば90日まで休める制度を、14の病名を用いて繰り返し使っていた。強要は病欠の間に行われた。

 市は談合を防ぐため、「郵便入札」の適用拡大を計画していた。職員は自らが実質的に営む建設業も対象となるため、担当課に再三出向き、「解放同盟と市との交渉で話す」などと脅して、見送るよう求めていた。結果として、市は適用拡大計画を延期した。

 市は、本人を懲戒免職とし、市長や助役らに減給などの処分を科した。部落解放同盟奈良県連も、この職員を除名処分とした。

 だが、処分だけではすまない。

 不自然な長期休暇を取った職員は、他にも数人見つかり、市は調査を進めている。有識者らの意見をもとに同和行政の見直しにも着手する。早急に全容解明と再発防止を図らなくてはならない。

 同和対策関連事業をめぐる不祥事は、他の自治体でも次々に発覚している。

 大阪市では、やはり部落解放同盟支部長の財団法人理事長が、管理する市公社駐車場の多額の収入を着服していた。

 京都市でも職員が相次いで覚せい剤使用などで逮捕された。市は報告書で「同和地区からの優先雇用で適格性に欠ける者を採用したのが一因」としている。

 法による同和対策は2002年、地域改善対策財政特措法の失効で廃止されたが、大阪市や奈良市などでは、独自の事業が続けられてきた。その中で、運動団体幹部であることを悪用した私的利益の追求がまかり通っていた。

 大阪市監査委員は同和行政関連の監査結果で、職員らがこの事業でのトラブルは許されないと思いこみ、正しい対応ができなくなっていたとした。それが「侵しがたい領域」を作ったと指摘する。

 奈良市でも、役所の事なかれ意識が不適正な状態を許したのではないか。

 こうした不正は、差別の助長につながりかねない。

 差別をなくすための行政の努力は、これまでも続けられてきた。今後のあり方について、不祥事を生んだ自治体は率先して検討しなければならない。

 地方分権が進む中で、自立した行政には法令順守の意識が不可欠である。無理難題には組織として毅然(きぜん)と臨むべきだ。他の自治体も総点検が必要だ。

(2006年11月17日読売新聞)


大阪市「過去と決別」 同和事業に「大ナタ」 J-CAST ニュース
2006/11/14       

http://www.j-cast.com/2006/11/14003829.html

   部落解放同盟との関係が深いとされる病院に大阪市が投入した補助金が回収できなくなるなど、同和行政をめぐる不祥事が相次いでいる、大阪市では「(部落を)特別扱いはしない。過去のやり方とは決別する」と、同和関連事業のうち24事業の廃止を打ち出した。解放同盟側は事業の縮小に反対するが、大阪市以外でも同様の動きが広がっている模様で、事業縮小は全国に広がっていきそうだ。

   大阪市は、大きく二つの同和行政関連の不祥事で揺れている。ひとつは、同和地区の医療センターとして位置づけられている「芦原病院」に約182億円の補助金を投入した上に、無担保で139億円を貸し付けた。そのうち、138億円が回収出来なくなってしまったほか、補助金の不正流用も明らかになっている。もう一つは、2006年に逮捕された小西邦彦被告が、大阪市開発公社から管理を委託されていた駐車場の管理を30年間にわたって行い、収益の一部である6億円を着服していた、という事件だ。小西被告は、山口組系の暴力団員でありながら、部落解放同盟飛鳥支部支部長に就任していた。

部落解放同盟は反発

「週刊ポスト」は同和行政についての連載を掲載している    大阪市は7月に、同市が委託したり、補助金や貸付金を出している事業が85あり、総額は年に年間65億円にのぼることを明らかにした。さらに、不祥事を受けて同和関連事業の見直しを行い、10月には、同和地区の青少年の健全育成を目的に整備された、12館ある「青少年会館」の廃止など、24事業約35億円を廃止する見直し案を公表した。現在の金額が65億円だということを考えると、「大ナタを振るう」政策だと言っても良い。

   この見直し案は「週刊ポスト」の06年11月24日号でも「『もはや従来の同和行政は不要だ』渦中の関淳一大阪市長が断言!」という特集記事でも紹介され、「これまでやっていた同和行政といわれるようなものは、もう存在し得ない。全て廃止する」と、関市長が「改革」への意気込みを語っている。
   この市長の発言に対して、市民局人権室統括担当課長の森永公子さんは、J-CASTニュースに対して、

「市長は議会で『先例踏襲や過去のやり方からは完全に決別する』と繰り返し答弁しているので、週刊ポストの『全て廃止』というのは、そのような意図だと受け止めています」
   と、同和行政そのものがなくなるのではなく、市長発言の趣旨は「やり方を完全に変える」ことなのだと説明する。

   また、週刊ポストの記事によると、部落解放同盟大阪府連合会は、

「(一連の不祥事は)同和行政を展開してきたことと直接リンクしない(略)本来は、大阪市がエセ同和に屈したと謝るべきところを、すりかえた」
「同和地区には課題が集中しており、それを解決するのは行政の役割」
   などと、事業廃止に激しく反発している。

事業縮小は全国に広がる見通し
   奈良市では、長期「病欠」している間も市庁舎には顔を出し、市に圧力をかけて新入札制度を変更させたとして元同市環境清美部収集課職員・中川昌史容疑者が逮捕されたが、同市の同和政策はどのように変わるのか。同市人権・同和施策課では、「事件を受けて、『同和行政を人権行政に含める』という形で、枠組みを変更するという形で見直しを進めている」と話す。ただ、「事件の性質が(大阪市の芦原病院の例などとは)違うので、見直しの方向性も大阪市とは違ってくる」として、具体的な「見直し」の内容や金額などについては明らかにしなかった。

   実は、同和事業の大幅削減は大阪市が初めてではない。長野県は01年には46事業27億円あった特別対策を、05年度までに4事業4,400万円にまで削減。同和関連事業は一般施策の中で取り組むように変更し、03年度には民間団体による人権啓発事業への補助制度を始めている。

   職員の不祥事が相次いでいる京都市の人権文化推進課では、具体的な見直しについては明らかにしていないが、「全国的に、そのような(事業見直し)流れは広がっている」と話している。

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