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暴力団組員だった小西被告が昭和42年、金もうけがしやすく絶大な権力が手に入ると考えて部落解放同盟飛鳥支部の支部長に就任した

【2006年10月6日】
大阪市長、解放同盟との協議存続──なれ合い不変の指摘も

 飛鳥会事件や旧芦原病院の不正流用問題など同和行政絡みの不祥事を受け、大阪市は8月末に計109人の大量処分を発表し、一応の“区切り”を付けた。「事件の背景となったなれ合いを排除していく」と、同和行政の新たな方針を近く決める予定で、廃止を含めた個別事業の具体的見直し作業を進めている。

 飛鳥会事件では、担当部局の市職員が本来の職場を離れて飛鳥会の事務処理に就くなどの“ヤミ専従”の実態も明らかになった。

 市は8月の処分と併せ、事件の舞台となった飛鳥人権文化センターのほか、青少年会館や老人福祉センターなどを統廃合するなどして、同和地区内に派遣していた市職員計459人を引き揚げることも決めた。

 飛鳥会側に対する様々な便宜供与のうち、飛鳥青少年会館の宿直費など計約4200万円を違法な支出と認定。飛鳥会の運営する銭湯の建設費補助金などを巡っては、不正にマンションを建設していたことなども発覚した。

 市は損害額が確定でき次第、補助金の支出先などに返還を求めてゆく方針だ。

 市人権室は「すべての施策をいったん見直す。不祥事を変化のきっかけにして、信頼を回復したい」と話す。

 市は外部団体との協議を原則公開とし、課長級職員が対応する指針をまとめたが、従来「市長交渉」として続いてきた部落解放同盟との協議は「懇談」と名を変え、市長自らが出席して4日に行われた。市長は「あくまでも懇談で、指針の対象外」と説明しているが、市議会内では「なれ合い体質が変わっていない」との指摘もある。




  産経新聞
  財団法人「飛鳥会」(大阪市東淀川区)をめぐる横領事件で、業務上横領と詐欺の罪に問われた同会の元理事長、小西邦彦被告(73)に対する初公判が6日、大阪地裁(杉田宗久裁判長)で開かれた。小西被告は罪状認否で、起訴事実を全面的に認めた。弁護側も争わなかったが、「単純な横領事件であり、世間では同和行政を食い物にしたと、ことさら悪質性が強調されていることを指摘したい」と述べ、情状酌量を求めた。

                   ◇

 検察側は冒頭陳述で、暴力団組員だった小西被告が昭和42年、金もうけがしやすく絶大な権力が手に入ると考えて部落解放同盟飛鳥支部の支部長に就任した、と指摘。その後、小西被告は「飛鳥地区の雇用促進のため」という口実で、大阪市淀川区の駐車場の管理業務を市開発公社から受託。この業務を通じて飛鳥会が得た収入から着服した現金が、6億円余りに上ることを明らかにした。

 起訴状によると、小西被告は平成15年4月から17年3月にかけ、飛鳥会が大阪市開発公社から管理業務を受託していた駐車場の料金収入の口座から、計1億3120万円を自身の口座などに移して着服。さらに15年9月、妻や元暴力団組長ら3人が市飛鳥人権協会の職員であるように装い、3人とその家族計7人分の保険証を詐取した。

 ■大阪市を意のままに 検察指摘

 暴力への恐怖と自己嫌悪。だれもが逆らえない2つの感情を武器に、小西被告は大阪市職員や大手都銀の行員を意のままに操っていた。検察側が読み上げる供述調書から、その実態が浮かび上がった。

 冒陳や調書によると、小西被告は取引先の三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)のささいな不手際につけこみ、同行支店の行員を飛鳥会の事務所に常駐させ、“秘書”として自身の手足のように使っていた。

 「自分がだれよりも偉い、という人。独裁者で、何かミスすると罵声を浴びせかけられた」

 ある行員はこう振り返る。この行員は前任者から「とにかく小西さんの指示は守れ」と引き継ぎを受けていたという。

 その中には飛鳥会の口座から小西被告の個人口座に現金を移しかえる作業も含まれていた。このため、処分保留で後に釈放されたものの、小西被告の共犯として逮捕もされた。極度の緊張を強いられた行員は2年半余りの秘書勤務の間に、15キロも体重が落ちたという。

 大阪市の職員も同様だった。

 市立飛鳥人権文化センターの職員は小西被告の指示で、通常業務以外に飛鳥会の業務も行わされた。それが、30年以上前からの常識だった。

 同和地区の土地買収を担当する市職員は、あるとき「ブラックな背景を持つ人の恐ろしさを目の当たりにした」という。突然かかってきた電話の向こうで、小西被告が怒声を張り上げていた。

 「淀川にすまきにして放り込むぞ。待っとけ」

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 【視点】癒着構造の解明に期待

 「浅田と小西を、絶対ここにつれてこい」

 かつて大阪府警の捜査幹部は、部下にこう厳命したという。

 浅田とは、「食肉のドン」と呼ばれ牛肉偽装事件で懲役7年の実刑判決を受けた食肉大手「ハンナン」元会長、浅田満被告(67)=控訴中=のことだ。「闇の権力者」として並び称された浅田被告から遅れること2年余り。小西邦彦被告もついに逮捕され、公判廷でその審理が始まった。

 2人の事件には、共通点が少なくない。ともに行政から恐れられ、ときに頼られた。その結果、巨額のカネが2人のもとに流れ込んだ。そして、その道具として悪用されたのが「同和」だった。

 小西被告は部落解放同盟支部長や財団法人理事長といった肩書をフルに活用し、思うがままに大阪市から公金を引き出していたとされる。こうした利権の構図は言うまでもなく、差別解消へ向けた同和行政の目的とはまったく異なるものだ。

 しかし、こうした背景事情の解明が、先の浅田被告に対する公判審理で十分になされたとは言いがたい。判決は浅田被告を厳しく指弾したが、「政官業の癒着」に触れることはなかった。

 この日の初公判で、弁護側は「同和行政を食い物にしたわけではない」と主張した。その書面を読み上げた弁護人は、浅田被告の主任弁護人も務めていた。

 だが、今回の事件を単なる一財団法人の着服事件に矮小(わいしょう)化してはならない。大阪市は平成14年の同和対策事業終了後も、小西被告への特別な“配慮”を続けてきた。刑事責任の追及にとどまらず、同和行政という名のもとに行われてきた癒着構造の解明を、今回の審理に期待したい。(福富正大)

【2006/10/06 大阪夕刊から】

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