意に反する職員は怒鳴りつけてー大阪・小西裁判
冒頭陳述要旨/飛鳥会事件初公判
大阪地裁で6日開かれた飛鳥会事件初公判の検察側冒頭陳述の要旨は次の通り。
【飛鳥会の設立経緯】
被告は暴力団組員として活動していたが、1967年ごろ、同和問題が大きな社会問題となっていたことから組員より金もうけしやすく、絶大な権力が手に入ると考え、部落解放同盟飛鳥支部長に就任した。その後、収益事業を営むことを提案して財団法人の飛鳥会を設立、理事長になった。
【業務上横領の事実】
被告は昭和40年代後半、新大阪駅周辺に一時利用の駐車場がなかったため、高架下の市有地に駐車場を作ればもうかると考え、同和地区外だと知りながらあえて大阪市に要望を出した。市は断れば飛鳥支部関係者の猛反発に遭うことが予想されたため、大阪市開発公社に駐車場設備を設置させ、管理業務を飛鳥会に委託させた。
駐車場の年間売り上げは毎年2億円に上り、飛鳥会は駐車場の収益を税務申告せず、赤字申告していた。駐車場従業員は同和地区出身者かどうかとは無関係に被告の裁量で決められていた。
【横領の犯行状況】
銀行の飛鳥会担当者が管理していた口座の中には被告の個人名義のものがあり、被告のクレジットカードの引き落としなど個人的な支払いの決済に使われた。駐車場の売上金を管理する口座が89年に開設されてから、飛鳥会担当者に指示して個人口座の残高を確認させ、少なくなると個人口座に振り替えさせて自分のために使うようになった。被告はその金をクラブの飲食代金や愛人との子どもの生活費、娘に買った高級外車や高級棺おけの代金などに充てた。
被告は銀行の自動送金サービスを利用して、駐車場用の口座から息子名義の口座に毎月一定額を振り込むことにした。92年から2006年までに振り込まれた金は5680万円で、起訴事実は03年から05年までの720万円分。息子の住居の公共料金などの引き落としに使われていたが、被告は口座の金で息子名義の株券も購入した。
同様に妻名義の口座に03年から06年まで3800万円が振り込まれ、起訴事実は03年から05年までの2400万円分。金は妻子の生活費などに使われた。
【詐欺について】
被告は76年ごろから市立飛鳥人権文化センター職員に指示して、飛鳥人権協会で働いていない飛鳥会関係者や親族に協会の保険証を取得させ、詐取を繰り返した。
被告は従順な市職員には定年退職後に被告が理事長を務める社会福祉法人で再雇用するなど厚遇し、意に反する職員は怒鳴りつけてセンター館長らへの影響を保った。
被告は03年9月ごろ、親交のある暴力団元組長らの保険証更新手続きを(センター前館長の)入江和敏(いりえ・かずとし)被告に指示。入江被告は元組長らが協会で働いているように装い、保険証計7枚を交付申請するようセンターの庶務担当に指示した。
2006年10月06日
大阪市長、解放同盟との協議存続──なれ合い不変の指摘も(10月6日)
飛鳥会事件や旧芦原病院の不正流用問題など同和行政絡みの不祥事を受け、大阪市は8月末に計109人の大量処分を発表し、一応の“区切り”を付けた。「事件の背景となったなれ合いを排除していく」と、同和行政の新たな方針を近く決める予定で、廃止を含めた個別事業の具体的見直し作業を進めている。
飛鳥会事件では、担当部局の市職員が本来の職場を離れて飛鳥会の事務処理に就くなどの“ヤミ専従”の実態も明らかになった。
市は8月の処分と併せ、事件の舞台となった飛鳥人権文化センターのほか、青少年会館や老人福祉センターなどを統廃合するなどして、同和地区内に派遣していた市職員計459人を引き揚げることも決めた。
飛鳥会側に対する様々な便宜供与のうち、飛鳥青少年会館の宿直費など計約4200万円を違法な支出と認定。飛鳥会の運営する銭湯の建設費補助金などを巡っては、不正にマンションを建設していたことなども発覚した。
市は損害額が確定でき次第、補助金の支出先などに返還を求めてゆく方針だ。
市人権室は「すべての施策をいったん見直す。不祥事を変化のきっかけにして、信頼を回復したい」と話す。
市は外部団体との協議を原則公開とし、課長級職員が対応する指針をまとめたが、従来「市長交渉」として続いてきた部落解放同盟との協議は「懇談」と名を変え、市長自らが出席して4日に行われた。市長は「あくまでも懇談で、指針の対象外」と説明しているが、市議会内では「なれ合い体質が変わっていない」との指摘もある。
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