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権力による盗聴 合法化は市民生活の不自由化 共謀罪新設

現代版治安維持法 共謀罪は廃案に!

http://www.kyuuenkai.gr.jp/shinbun/2006/20060925.htm#03

 6月に閉会した通常国会では、自民・公明の与党が、共謀罪新設法案をなんとしても成立させようと、2度にわたり修正案を出したり、民主党の修正案を「丸のみ」して採決強行をはかろうとしましたが、日弁連、市民団体、労働組合、ジャーナリストなどが反対の行動を展開し、マスコミもこれを大きく取り上げる変化がつくりだされるなかで、成立を許しませんでした。国民救援会、全労連、自由法曹団が昨年秋に共謀罪反対のパンフレットを作成し1万部を普及するなど、反対運動を広げて国会要請行動に取り組んだことも大きな力になりました。
 しかし政府・与党は、9月26日開会予定の臨時国会のなかで、あくまで共謀罪の成立を狙っています。法案は、通常国会の中で与野党から出された修正案はすべて廃案となり、昨年秋の臨時国会に政府が提出した法案が継続審議となっています。
 共謀罪は、犯罪の実行について話し合い、合意しただけで処罰するというもので、「現代版・治安維持法」とも言われています。臨時国会での廃案をめざし、あらためて共謀罪の持つ危険性と、この間の審議と運動のなかで明らかになったことをまとめてみました。
 
共謀罪が成立したらこんなことが……
□君が代反対が…

 卒業式が近づいたある春のこと。
 お母さん方が地域の女性団体などの会議で、「日の丸・君が代の強制に反対して、卒業式の会場前でビラを配布しましょう」「起立、斉唱を拒否しようと呼びかけましょう」と事前に打ち合わせ、「そうしましょう」と確認しました。
 卒業式を数日後に控えたある日のこと、「すみませんが、お話を伺いたいので署まで来てもらえませんか」、その会議に参加した一人のお母さんのもとへ警察が尋ねてきました。
 警察は、先の話し合いを「卒業式の正常な進行を妨害する組織的威力業務妨害共謀罪にあたる」として、その後、女性団体の役員を逮捕し、会議に参加したお母さん方を次々に呼び出して取り調べました。

□選挙のときに…
 A市の市議会議員選挙も最終盤。

 ある候補の事務所で、選対幹部らが「支持固めのため電話作戦として、もっと多くの運動員や支持者に電話代を配ってもやってもらってはどうか」など話し合い、合意しました。しかしその後、「やはりこの前のことはやめよう」と合意を撤回しました。
 投票日直前、警察は選対幹部を「共謀罪の疑いがある」とおおがかりな捜査と関係者の呼び出しを行いました。
 公職選挙法では、買収罪は3年以下の懲役ですが、多人数買収罪は5年以下の懲役になります。警察は、先の話し合いを多人数買収を共謀した、としたわけです。
 共謀罪は、一度合意すると、撤回や中止などで実際に犯罪が行われなくとも適用されるのです。


こんなに危険な共謀罪

 まず、法案について見ていきます。
 共謀罪の新設案は、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律改正案」の一部として出されました。その第6条2で、4年以上の刑が定められている犯罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるもの等の遂行を共謀したことを処罰するとしています。つまり、団体で犯罪実行について話し合い・合意した、そのことが犯罪(共謀罪)となるわけです。

心のなかまで
踏み込む悪法

 共謀罪は、憲法に真っ向から反するものです。
 刑罰というのは、本来、実際に行われた犯罪行為に対して科せられるものです。しかし、共謀罪は、犯罪被害がなくても、凶器を買ったり、段取りをするなどの準備行為がない段階でも成立します。心で思うことが取り締まりの対象になります。これは、憲法の思想・信条の自由、内心の自由に反します。また、自由な話し合い・討議・研究を抑制するもので、言論・表現の自由に反します。さらには、対象団体も無限定で、団体としての活動を規制することになり、結社の自由にも反します。
 共謀罪は、犯罪行為によって何らかの被害が実際に発生したときに処罰することを定めている近代刑法にも反します。いまの刑法では、犯罪を計画したり、準備するなど被害発生の危険が生じても、被害発生に至らなかった場合には、殺人罪などの重大犯罪をのぞき処罰されることはありません。

警察の判断で
労組も対象に

 共謀罪の危険性を具体的に見ていきます。
 まず、共謀罪ではどのような団体が対象となるのでしょうか。
 政府は、国連国際組織犯罪防止条約を批准するために共謀罪の新設が必要だと説明していますが、この条約では対象団体を、「組織された集団であって、直接または間接に金銭的利益その他の物質的利益を得るため、一定の期間継続して存在し、かつ……この条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として協力して行動するもの」(第2条a)とされています。ですから、マフィアや暴力団など組織的に経済目的の犯罪を行う団体を対象としています。
 ところが、法案では、取り締まりの対象団体は、「国際的」や「組織的犯罪者集団」といった限定もされず、「金銭的物質的な利益を得る目的」も要件とされていません。つまり2人以上の「団体」すべてが対象となり、無限定です。政府は、国会審議のなかで、「市民団体や労働組合などは対象外」と答弁していますが、その一方で団体が変質し犯罪集団になった場合は対象となるとも述べており、結局は警察の判断でいかようにもなり、警察が疑いを持てば、サークル、市民団体、労働組合、政党なども取り締まりの対象とされかねません。

道交法違反も
共謀罪の対象

 それでは、どのような犯罪が共謀罪の対象となるのでしょうか。
 法務大臣は、共謀罪の対象となる犯罪数を615と答弁しています。その中身は、殺人や強盗などの重大犯罪の「共謀」もありますが、消費税法、道路交通法、公職選挙法など、国際的組織犯罪とはなんの関係もない、市民生活に深く関わる犯罪の「共謀」が対象のほとんどです。

盗聴やスパイ
違法捜査拡大

 もし共謀罪ができたら、捜査はどうなるのでしょうか。
 共謀罪では、「話し合い・合意」など、これから犯罪が起こるかもしれないことが捜査の対象となるため、事前の相談や連絡の内容をつかむことが捜査の重点となります。つまり、会話をつかまなければいけないわけです。その結果、電話やメールの盗聴や住居・事務所等に隠密に侵入して盗聴器を仕掛ける室内盗聴などの合法化につながります。さらには、対象者をとらえて「自白」を強要して、共謀を立証することにもなります。また、「自首」した場合は刑を減免されますから、スパイを送り込んで「共謀」させたうえで、スパイは「自首」し、組織を弾圧することも起こりかねません。
 国公法弾圧堀越事件の裁判では、多数の警備公安警察官が、堀越明男さんを、私生活に至るまで半年以上にわたって尾行・調査・監視、ビデオによる隠し撮りを行っていたことが明らかにされました。「共謀罪の捜査のため」として、こうしたプライバシーを侵害する違法な捜査が拡大することにもなります。

 共謀罪は必要ない
条約で共謀罪
義務ではない

 政府は、共謀罪新設の理由として、マフィアなどを取り締まるための国連国際組織犯罪防止条約を批准するために共謀罪の新設が義務づけられて
いる、と説明しています。
 しかし条約では、各国の国内での刑法原則にしたがって、組織犯罪を未然に防止するために必要な措置をとるように求めているだけで、共謀罪の新設を義務づけてはいないと国会でも追及され、国連が作成した条約ガイドにもそのことが書いてあることが報道されています。政府の唯一の主張が崩れたわけです。
 そもそも日本政府は、条約審議のなかで、「日本には共謀罪を必要とする事情はない」旨、主張しています。また共謀罪がなくとも、現行の法律で十分対応が可能です。共謀罪は必要ありません。

本当の狙いは
監視・弾圧

 いま、改憲策動が加速され、米軍基地の再編強化と国民保護法の具体化など有事体制作りがすすめられ、日本を「戦争をする国」にしようとする動きが強められています。これに対し、憲法を守ろう、平和を守ろうという運動が大きく広がっています。このような国民運動を監視するための体制が強まり、ビラ配布など言論・表現活動に対する弾圧事件が相次いで起こされています。このような情勢のもとで、共謀罪の新設は、警察にいっそう危険な武器を与え、日常的に国民の運動を監視し、弾圧の拡大を許すことになります。これが共謀罪の本当の狙いです。
 臨時国会での成立強行を許さず、全国各地で学習・宣伝・署名活動など運動を旺盛にすすめ、「共謀罪はきっぱり廃案に」の声を国会に集中しましょう。

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