人権擁護法案の安易な見直しはおこなうべきではない
人権擁護法案の安易な見直しはおこなうべきではない
http://homepage3.nifty.com/zjr/topics59.htm
全国人権連は8月10日、法務省と交渉し、人権擁護法案の安易な見直しはおこなうべきではないと省を追及しました。 この話し合いには、全国人権連から丹波正史議長、千本美登・内海ハル子両副議長、新井直樹事務局長、東日本選出の本部幹事等9名の役員が出席。 法務省側から小山総務課長、若井人権啓発課長、関調査救済課長ら、8人が応対しました。
交渉ではまず、人権擁護法案再検討に関わる省内プロジェクトの概要、法案を必要とする根拠、平等権に関わる差別行為の禁止ではなく言論表現を「差別禁止」する条項をあくまでも「法の根幹」と位置づけているのか、について、全国人権連が法務省の見解を質しました。
省側は、「人権擁護法案再検討に関わる省内プロジェクトは4月に杉浦法務大臣から指示があり立ち上げた。 検討チームは審議官や課長級などで構成し大臣直轄の組織。 主な検討課題はマスコミの言論表現の取り扱いや人権委員会等の国籍条項に関わる問題が大きなテーマである」と回答。 人権連は具体例をあげながら、「真に必要な救済をおこなわないまま言論規制を進める「人権擁護法案」ではなく、人権侵犯処理規程の充実や虐待防止法等、当面おこなうべきことがあるのではないか」「大臣はマスコミ規制の「凍結」を削除するか等発言しているが、抜本的検討になっていない」「次期通常国会を目安にせず、鳥取での『条例』見直し議論もふまえ、十分な時間を取って根本から検討し直すべきだ」と迫りました。
次に「確認・糾弾」について、「三重・弓矢控訴審判決は、行政の参加や参加の強要を断罪したが、いまも各地で開かれている『確認・糾弾』を、どのように認識しているのか。 行政の参加などを放置せずに中止の指導を公然とすべきとだ」と指摘。 省側は、「糾弾は弁護人もなしに大勢で反省を強要するもので、同和問題の解決に適さないとする平成元年の総務課長の通知(法務省権管第280号)の通りであり、公務員の出席は適当でない」と、これまでと同様の回答をおこないました。 これに対し、「弓矢事件でも見られるように、教育関係者の自殺という痛ましい事件が起きた。 校長が自殺に追い込まれる前に救済できたはずだ。 法務省見解を徹底すべきだ」と、各地の法務局も適切な指導ができないでいる例なども示し、確認・糾弾一掃のための実効ある対応を求めました。
最後に、「財団法人 人権教育啓発センター」の中立・公平性に関わることや、えせ同和問題に毅然とした対応がとれていない地方法務局の実態なども提起し、改善を求めました。
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なお8月30日、衆議員第一議員会館の与党政策調整第3会議室で、与党の人権問題等に関する懇話会が開催され、次期通常国会で人権擁護法案を成立させるべく手続きを開始しました。 与党の人権問題等に関する懇話会の新メンバーは、下記の通り。
自民党 顧問 古賀 誠 衆議院
顧問 鈴木 俊一 衆議院
メンバー 中谷 元 衆議院
メンバー 松岡 利勝 衆議院
メンバー 岩永 峯一 衆議院
メンバー 松浪 健四郎 衆議院
メンバー 鶴保 庸介 参議院
公明党 顧問 冬柴 鐵三 衆議院
顧問 草川 昭三 衆議院
顧問 太田 昭宏 衆議院
メンバー 東 順治 衆議院
メンバー 田端 正広 衆議院
メンバー 漆原 良夫 衆議院
テレビ朝日に申ししれ
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8月17日、テレビ朝日本社に千本美登・全国人権連副議長、新井直樹・事務局長ら3名が出向き、社会的に悪影響を与えている「糾弾会」への出席は再考すべき、と申し入れをおこないました。 これは、昨年1月23日、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」で「ハンナン・浅田問題」をとりあげたなかで、田原総一朗さん、高野孟さんらが、「部落差別発言事件」を起こしたとして、確認・糾弾会が継続しておこなわれ、この10月下旬にも糾弾会が予定されていることから、昨年に続いて3度目の話し合いをおこなったもの。
田原さんや高野さんは、すでに昨年2月下旬に「解同」中央本部での「確認会」に出席し、説明不足であったことや翌週の番組で謝罪したことも説明。 外から見ていたと「自己分析」をしています。
その後、5月6月に確認会が開かれ、12月には「解同」本部で「糾弾会」が持たれて、テレビ朝日の会長や朝日放送の社長など9人も参加し、「人権研修を積極的にすすめる」などの「決意が示された」と言います。
こうした経緯を確認し、ふたたび当事者が「糾弾会」にのぞむ理由、自己変革を促す糾弾会は違法であること、同和問題の現状や解決の在り方は多面的に学ぶこと、中立・公正な報道の徹底、放送と人権に関する委員会(BRC)の充実など、率直な意見交換をしました。
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