不正流用されているのに、返還すべきだとされた金額はわずかで
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補助金2200万円回収を勧告 旧芦原病院不正流用事件
2006年07月21日
特別監査でずさんな経営実態が改めて明らかになった旧芦原病院=大阪市浪速区で
大阪市の同和対策の医療拠点だった旧芦原病院の補助金不正流用問題で、市民団体「オンブズ近畿ネット」が02~04年度の補助金計4億8900万円を関係者から市に返還させるよう求めた住民監査請求について、市監査委員は21日、請求の一部を認め、関淳一市長に対し、約2200万円の回収措置をとるよう勧告した。関市長自ら求めていた特別監査の結果も公表し、「明らかに違法な資金流出はなかった」と結論づけながらも、一連の不適正な事務処理の背景として、市が同和対策関連事業を「侵しがたい領域」とみなしていたと指摘した。
監査結果を受け、市は8月中に、関市長や補助金支出に関係した職員の処分を発表する。旧芦原病院の資金の流れを巡っては、市民団体が市幹部らを背任などの疑いで大阪府警に告発しており、今後は刑事事件としての捜査の行方も焦点となる。
市監査委員は6月、大阪市の市民団体「見張り番」が求めた補助金返還請求を、「補助目的に合う他の備品が購入されており、市に損害はない」として、棄却した。
見張り番が返還を求めた補助金が「備品整備」だけだったのに対し、オンブズ近畿ネットは、一体的に運用されていた「備品整備」と「建物設備整備」の両補助金を対象とした。その結果、04年度に限っては、補助目的に合うすべての支出を合計しても約1億4100万円にしかならず、補助金1億6300万円を約2200万円下回った。監査委員はこの差額を「市の損害」と認定、2カ月以内に回収措置をとるよう求めた。
残りの02~03年度は、使用実績が交付額を上回っており、市に損害はないとした。
一方、特別監査は、本来は病院側が作成すべき補助金の申請、精算書類を、市職員が捏造(ねつぞう)していたことを「不適正」と指摘。こうした事務処理が長年続いてきたのは、「構造的、組織風土的な問題」だとして、市の責任の重さに言及した。
そのうえで、同和対策事業の根拠だった地域改善対策財政特別措置法が失効した後も含め、市職員に「同和対策関連事業に対する極めて高い優先度と、失敗が許されないとの過重な思い込み」や「偏った価値観」があり、「『侵しがたい領域』としての扱いを容認してきた」と分析した。
オンブズ近畿ネットの太田計事務局長は「補助金の大半が不正流用されているのに、返還すべきだとされた金額はわずかで納得できない」として、訴訟を起こすことも検討する考えを明らかにした。
旧芦原病院への補助金6億円の返還求め提訴 市民団体
2006年07月19日
大阪市の同和対策の医療拠点だった旧芦原病院の補助金不正流用問題で、市民団体「見張り番」(松浦米子代表世話人)のメンバー13人が19日、市が96~04年度に支出したとみられる補助金計5億9400万円について、同病院を運営していた「浪速医療生活協同組合」(民事再生手続き中)と支出に関与した市職員ら27人に返還させるよう、関淳一市長に求める訴訟を大阪地裁に起こした。
訴状によると、市は04年度に手術や検査に使う機器の購入費として計6600万円を支出。実際にはこれらの機器は購入されなかったうえ、本来は病院側が作成する補助金精算報告書などについても、市職員が勝手に作っていたとしている。
メンバーは、こうした支出が少なくとも96年以降の9年間で、計5億9400万円に上ると指摘。「不正行為によって市に多額の損害を与えた」と主張している。
関淳一・大阪市長の話 訴状が届いておらずコメントは控えさせて頂く。
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