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差別禁止の条例は、企業には必要だが、「問題」とされるもの

東京新聞
障害者条例案県が取り下げ
修正案作りに焦点

 堂本暁子知事が三十日、自民党の要求をそのまま受け入れる格好で「障害者差別禁止条例」(「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」)案の取り下げを決断したことで、今後は、条例の修正案作りに焦点が移る。障害者や家族、福祉関係者らで構成し、条例案の原案を作った「障害者差別をなくす研究会」に、自民が議員を送り、条例案の見直しに参加する意向を表明している。 (林容史)

 堂本知事は「議員と研究会のメンバーが十分に理解し合う機会を持つことは大変、有意義」と述べ、「みんなが納得できる条例案を九月に上程させてもらう」と話した。

 自民党県連の斎藤万祐政調会長は、政調会のメンバーを中心にプロジェクトチームを組織、研究会の話し合いに参加する方針を示した。

 ただ、斎藤氏は「前文から作り直さなければならない」と、全面見直しも示唆しており、修正案作りは難航しそうだ。

 また、条例案の取り下げについて堂本知事から説明を受けた民主党県連幹事長の田中明議員は「条例の灯を消してはならないということだった。仕方ないが了承した」と語った。

 公明党県本部代表の吉野秀夫議員は「例えるなら、三歩進んで二歩下がってしまった。まだ一歩残っているので、誤解があるなら、それを埋める文章にしなくてはならないだろう」と述べた。

   共産党県議団の丸山慎一議員は「(否決され)何も残らないのはまずい。適用除外など修正はあり得る。よりよい条例にしていきたい」と修正案作りに前向きな姿勢をみせた。


障害者差別禁止条例案
知事、きょう態度表明

 県議会最大会派の自民党の反対で継続審議になっている「障害者差別禁止条例」案について、堂本暁子知事は三十日に開かれる自民党県連の政調会で条例案の扱いについて態度を明確にする方針を固めた。政調会側は修正のため、いったん条例案を取り下げるよう県側に強く求めており、堂本知事がそのまま要求を受け入れるのか、対応が注目される。 (林容史)

 堂本知事が二十九日、斎藤万祐政調会長らと会談し、方針を伝えた。

 条例案では、希望しない学校への強制的な入学などを禁じた一一条に、教育現場から「就学指導が否定される」などの反論が相次いだ。また、雇用時の差別を禁じた一〇条に対し、経済界から疑問の声が上がり、勧告と公表という罰則にも拒否反応を示している。

 堂本知事は、自民の要求に応じて条文を修正する方針を示したが、政調会はさらに修正するために条例案をいったん取り下げるよう要求、応じなければ条例案を否決する強硬姿勢をみせている。

 堂本知事は二十八日夜、条例案の原案をつくった「障害者差別をなくす研究会」に対応を相談。「なぜ条例案に反対するのか理由を説明する義務がある」「条例案に反対する意見だけでなく、障害者の声を聞いて判断してほしい」など、県議会に対する批判の声も上がったが、研究会側は否決で条例案を葬らないため、取り下げを含めて検討するよう堂本知事に要請した。

 しかし、研究会の一部には、条例案を取り下げても「修正案を再提案して可決される担保がない」と悲観的な見方がある。事実、自民県連幹部の間には「条例案を取り下げれば、今後は自民の同意なしに再提案はさせない」という強硬論もあり、修正の主導権は完全に自民が握ることになる。

 二月定例会で成案として条例案を提案しながら継続審議になった後は、自民の言うままに各界から意見を聴取し直し、修正要求に応じてきた県。条例案の成否がかかる正念場で、堂本知事の政治手腕が試されそうだ。


障害者差別禁止条例案
修正求め自民譲らず『取り下げないと否決』

 県議会最大会派の自民党の反対で継続審議となっている「障害者差別禁止条例」案について、自民県連の政調会が二十七日開かれ、堂本暁子知事に条例案を取り下げなければ否決する方針を直接伝えた。自民党側は一度条例案を取り下げた上で内容を修正した条例案を再度九月定例会以降に提出することを求めた形だ。 (林容史)

 会派の政策方針などを定める場の政調会に知事が出席するのは極めて異例という。堂本知事自身が希望して政調会に出席、条例案の必要性を説明したという。

 出席者によると、堂本知事は、障害者や家族、福祉関係者らで構成し、条例案の原案をつくった「障害者差別をなくす研究会」に相談の上、今後の対応を決める意向を示したという。その上でさらに自民党側と協議を続ける考えだ。条例案の扱いについて審議する県議会健康福祉委員会が開かれる来月四日までに一連の作業を済ませる必要に迫られそうだ。

 自民党側は、学校選択時の差別を禁じた一一条、企業の雇用時の差別を禁じた一〇条などの修正を求めている。

 堂本知事は、これまで条例案を取り下げる可能性には言及しておらず、この日の代表質問でも「条例案を修正するなど、よりよいものにしたいと考えている。今議会で十分に審議いただき、さらに検討を進めていきたい」などと答弁し、深々と頭を下げた。


障害者差別禁止条例案
知事『条文を修正』

 県議会最大会派の自民党の反対で継続審議になっている「障害者差別禁止条例」案について、堂本暁子知事は、反対論が強い強制的な入学の禁止などについて、条文を修正していることを明らかにした。二十一日に開会した六月定例県議会の冒頭で述べた。

 堂本知事は「教育に関する差別の規定を修正するなど、より良い条例にするために検討を進めている」と明言した。また「今議会で審議をいただいた上で、さらに検討を続けていく」とし、今議会では修正条例案を提案しない方針も示した。

 県は二月定例会で条例案を提案したが、自民党が反発。さらに市町村教委などの教育現場から、希望しない学校への強制的な入学を禁じた条項に対し反論が相次いだ。経済界も雇用時の差別の禁止条項や、勧告と公表という罰則に懸念を表明している。

 このほか県は、二月定例会で否決された「男女共同参画センター」設置条例案に替え、名称を「ちば県民共生センター」に変えた設置条例案を再提案した。

 条例案では、千葉市稲毛区に共生センターを新設、柏市の旧「女性センター」には分館の「東葛飾センター」を設置する。否決された条例案で予定していた館山市への分館設置は見送る。

 堂本知事は「相談業務などは将来、身近な市町村でも実施できるよう研修を拡充するなど、各自治体との連携を一層深めていきたい」と述べた。

 同条例案など県は二十議案を提案した。代表質問は二十七、二十八日、一般質問は二十八-三十日と七月三日にそれぞれ行う。常任委員会は七月四、五日を予定している。七日に閉会する。 (林容史)





県民巻き込み幅広い議論を


   障害者差別禁止の条例案をめぐり質問戦が行われた千葉県議会本会議=10日、千葉市中央区市場町1丁目、千葉県庁
 鳥取県の人権侵害救済推進条例は全面的見直しのため、6月の施行を停止する条例案が2月議会で審議されている。千葉県でも、障害者差別を禁止する条例案が今議会に提案されたが、定義のあいまいさや悪質な差別事案の氏名公表など、人権条例と同じような問題点をめぐり、議会では慎重論が大勢を占めている。条例の共通点や参考とすべき点など、千葉県での取材を通して考えた。

▽独自性ない鳥取
 10日の千葉県議会一般質問-。

 条例案では障害を理由に、”本人や親の望まない入学を強いる”ことは差別禁止規定の対象となっており、自民党の議員が「入学時の就学判定が親の意に反した場合は、摩擦が生じ、市町村教委が混乱する」と県の考えをただした。

 堂本暁子知事は「対応措置が過重な負担になる場合は、禁止規定は適用除外となり得る。差別解消委員会などの第三者による話し合いの場が持たれることで、これまでよりも相互理解が深まる」と切り返すなど、厳しいやりとりを繰り広げた。

 千葉県の条例案作りは、堂本知事がノーマライゼーション実現のため障害者差別禁止条例を「全国トップを切って制定する」と公約したのが始まりだった。

 鳥取県の人権条例は国の人権擁護法案を下敷きにした結果、「県内事案を押さえず、人権侵害の類型全部を取り込んだような立法となっている」と片山知事が条例成立後に認めたほど独自性がない。人権関係団体の代表者らでつくる検討委員会が1年半かけて作ったが、条例案への県民意見も59件あっただけ。

▽官民協働の千葉方式
 行政主導で進められた鳥取県に対し、千葉県の取り組みは違う。

 まず、条例案検討の資料を作るため「障害者差別に当たると思われる事例」を県民対象に2004年9月から3カ月かけて募集。

 「保育所入所を拒否され、小学校も普通学級に進学できるか不安」「うつ病の薬を飲んでいるだけで解雇された」など県民から769件の差別事例が寄せられた。

 05年1月、公募委員を含め29人による「障害者差別をなくす研究会」が発足、事例を基に、「差別とは何か」についての県民共通の理解やルール作りなどを目指してきた。

 研究会は昨年1年間、20回開催。地域住民主催のタウンミーティングも県内30カ所延べ3000人が参加した。「委員は手弁当なので、予算はミーティングの会場代や資料代などの200万円」(障害福祉課)という。

 「白紙の段階から県民と行政が一緒に作ってきた。この過程に意義があった」と振り返る竹林悟史課長、「もちろん実行段階も官民協働で取り組む」と強調する。

▽分野限定でさえ困難
 千葉の条例案に対し、県議会の3分の2を占める自民党(66人)は、「委員会の独立性が担保されていない」「恣意(しい)的な公表の恐れもある」など、鳥取県の弁護士会が県人権侵害救済推進条例に対して発したのと同様の視点で問題を提起、同党幹部は「日本一早いのではなく、日本一いい条例を目指すには審議を十分尽くすべきだ」として、今議会では可決しない、と言い切る。

 県民参加型で「障害者差別」という限定された分野だけを対象にした条例案。それでも実現への道は険しい。

 一方、「抜本的な見直しをする」(片山知事)という鳥取県。予算案が認められれば、弁護士や大学教官ら13人の委員が「障害」のほか、「女性」「同和問題」「子ども」「外国人」など8分野を対象に、差別や虐待など人権侵害の実態について関係者からの聞き取り調査に着手し、条例案を検討する。

 しかし、千葉県の取り組みから見て、この体制で十分なのか、県議の間では「検討期間は1年以内」とする声が強いが、拙速の恐れはないか。

 千葉県のように条例作りの理念を県民と共有し、下からの盛り上がりがあってこそ意義がある。2度目の条例案作りは、幅広く県民を巻き込めるかどうかにかかっているといえよう。

 千葉県障害者差別をなくす条例案 障害を理由として差別を受けずに地域で暮らせる権利を保障するのが狙い。▽福祉▽医療▽雇用▽教育▽商品およびサービスの提供▽建物および公共交通機関-などの8分野での「なくすべき差別」規定を明記。第三者による仲介で自主的解決を目指す。

 そのため、地域相談員など身近な相談窓口で調整を図り、さらに専門的対応が必要な場合は「差別解消委員会」で助言、あっせんをする。悪質な場合は同委の通告を受け、知事が勧告や名前の公表をする。

('06/03/20 )


千葉県健康福祉部障害福祉課
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syoufuku/keikaku/sabetu/sabetu.html

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