大阪市が、社会や時代の変化の中で事業の使命を終えたと考え得る時点で、速やかに事業を見直すべきであったにもかかわらず、それを怠ってきたということが大きな原因
大阪市長記者会見(2006年5月19日)
【飛鳥会をめぐる問題についての調査について】
(市長)
今朝、所属長会を開いて各所属長に指示した内容をご説明します。
この間の芦原病院の問題、また今回の飛鳥会の問題については、大変厳しい批判を招いているわけですが、これらの問題については、大阪市からの補助金や委託金等のあり方が問題点に挙げられています。私は、これらの補助金や委託金などは、それを始めた当初は一定の使命があって出発した制度だったと思っています。就職差別、これは雇用対策が必要ですし、医療機関がない、あったとしても非常に劣悪な条件の診療所しかない、そういう時代が現にあったわけであり、こういう大阪市としての制度は、出発時点では適切なミッションがあったと思っています。しかし、社会或いは時代の変化、時の経過の中で、一定の使命が終わったと考え得る時点で、速やかに、そのやり方なり内容なりについて、組織として見直しを適切にすべきであったにもかかわらず、これがやり切れていなかったところに問題があると思っています。
これからは、個々の職員任せではなくて、大阪市の組織としての対応こそが必要であると思っています。直接職務にあたっている職員は皆まじめに職務に当たっているわけですから、これらの職員をきちんと守るという責任もトップにはあるわけで、過去の経緯などから職員が萎縮したりすることがないように、各局、区役所それぞれにおいて、いろんな関連団体との関係を今日的観点からあるべき姿に見直すということを、まさに今成さなければならないということです。
当然のことですが、人権施策は今後とも大阪市として実施していく大事な施策のひとつであるわけです。同和建設協会会員企業の入札にかかわる問題なども含めまして、この間非常に厳しい批判を招いている問題の原因は、いずれも大阪市として適切な見直しを怠ってきたというところにあると考えています。我々は、この点を率直に、真摯に反省しなければならないと思っています。
その上で、今後は二度とこういう問題を起こさない適正な組織体質、職場風土づくりを進め、職員が安心して職務に取組むことができる環境を作らなければならないと考えています。
そのために、今回の飛鳥の問題についてだけでなく、同和対策特別措置法の期限内で同和対策の一環として事業を始めた経過があるもので、特定の団体を優遇するような措置が残っていないか、これまでも見直しは行ってきましたが、その見直しの漏れがないかどうかを、全所属及びそれぞれの外郭団体も含めて総点検することを指示しました。この総点検は、個々の職員の責任を追及することが目的ではなくて、あくまでこれまで行ってきた見直しの漏れを改めて総点検して、見直すべきものは見直すために調査を行うものです。今回、見直すことなく、将来に課題を先送りするようなことになると、将来に更に大きな課題を残すことになると考え、全面調査をすることにしました。
総点検の中で、明らかに不適切なものは直ちに見直さなければなりません。また解決に当たって、大阪市として今後の方針等を決定する必要のあるものは、グレーゾーンにあるようなものも含めてそういう必要があるものがあれば、私が市長として職員を守る立場から責任をもって対応していく決意です。
これら総点検の結果、改めて大阪市として対応の方針を示す必要のあるもの等については、7月中には全体の取りまとめを明らかにしていきたいと思っています。
改めて申しあげておきますが、私は、差別は今も存在し、皆無になったとは思っていません。また、人権行政というものは、これからもますます重要性が増すものと考えています。
しかし、これとは別の次元の話として、特定の団体との付き合い方とか、過去の慣習を引きずったまま見直しのない特別な扱いがあるとすれば、これは今日的には問題であります。
いずれにしましても、これは私自身が責任をもって対応し、きちっとしたことを市民に説明する義務があると思っていますので、しっかりとやっていきます。
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【主な質疑概要】
(記者)
調査はどういう形で結果を公表されるつもりなのか。
(市長)
報告書の作り方はこれから考えますが、多くの所属にわたる調査なので、大阪市として適切な形や必要な措置、また課題を考えなければならない問題など、全体像、全体の姿がわかるものを調査結果として示していきたいと思います。
(記者)
市としては、飛鳥会への西中島駐車場の業務委託は同和対策事業であったかどうか以前分からないとしていたが、現時点ではどのように判断しているのか。
(市長)
先ほど総論的に申し上げましたが、出発時点では、雇用対策など当時の問題を解消するために出発したと思っています。ただ、その後の経過が適切であったかどうか、これは現在警察も捜査をしている段階でありますので、その結果も待ちたいと思います。飛鳥会の件に限っては、警察の捜査との関連も十分考えながら、大阪市の対応を決めなければならないと思っています。
(記者)
出発時の雇用対策とは、同和対策としての雇用対策という意味なのか。
(市長)
そうです。
(記者)
今回の内部調査で調査対象になるのは、運動団体と事業団体、両方ともということなのか。
(市民局理事)
基本的には、今事業を行っている、市から業務などを委託しているものを含めたものが対象となると考えており、関係局にもその趣旨で調査を指示しています。その中で、相手方との契約が不適切なものや、手続きに本来必要なものが備わっていないものなどがあれば、それについてしっかりと調査をしていきたいと考えています。
(記者)
その相手方は、運動団体と事業団体に限られるのか。それ以外の株式会社形態のものなども含めて調査するのか。
(市民局理事)
基本的にはすべてを含めて調査をします。
ただ、運動団体に対する事業委託というのはないのですが。
(記者)
土地等の賃貸などではあるのではないのか。
(市長)
それはあると思います。それも対象になります。
(記者)
その点の調査も、運動団体と事業団体だけではなく、他の営利法人形態や公益法人形態のものも含めて行うのか。
(市民局理事)
適切な契約ができていないものがあれば、どこの団体が対象ということではなく、契約等の現状を以って調査をしていきます。
(記者)
契約等が不適切であるか、不備があるかなどは、どこがどう判断するのか。
(市長)
各所属からは今どういうものがあるのか、すべて出してもらおうと思っています。担当局でおかしいと判断できるものもあれば、判断が難しいものもあると思いますが、まずは窓口になる市民局に一旦すべてを出してもらって、適切、不適切と判断していきます。もちろん各所属で不適切と直ちにわかるものは、すぐに見直さなければなりませんが。
(記者)
では、最終判断は市民局か。
(市長)
最終判断は市長である私が行います。
(記者)
先ほど関係の見直しという言葉があったが、事業や契約の見直しをするだけでなく、相手方・団体との関係そのものを変えていこうという趣旨か。
(市長)
今やろうとしているのは、事実関係の調査であって、しっかりとした事実関係をまず把握して、自治体・行政として契約や手続きが適切になされているのかどうかをチェックすることが目的です。どこかの団体と大阪市との関係を変えていこうということが課題ではありません。
(記者)
今回の事件では、駐車場の収入報告を作るという行為を開発公社側が長年行っていたり、府に出す法人の報告書を人権文化センターの館長が作成していた事実などが明らかになったが、それらは市から説明されたものではなく、報道によって明らかになってきたものである。そういう状況の中で、適切・不適切の明確な基準が示されていない現在の段階で、内部調査によって事実を明らかにできるのか。
(市長)
事実関係は明らかにできると思っています。それが適切であるかないかは、私が判断しなければならないケースが多々あると思いますが。
(記者)
職員厚遇問題では、当初内部で調査をされて、それでは十分でないのではということで、途中から外部の人の視点を入れて調査をされた経緯があるが、今回はそういう考えはないのか。
(市長)
まず、第一義的には、内部の職員による調査をしようと思っています。ひとつは、芦原病院については特別監査をお願いしていますし、別の外部委員会を新たに設けることがこの場合果たして効率的かどうかということもあるので、まずは内部調査で事実関係を把握したいと思っています。ただ、事例によっては、例えばコンプライアンス委員会の力を借りるという場合もあると思いますが、それはその時々で判断していきたいと思っています。
(記者)
先ほど個々の職員はまじめにやってきたので守らねばならないという話があったが、開発公社や館長が果たしてきたことなどが、公務員という立場に照らして果たしてまじめにやってきたと言えるのか疑問である。昨日人権文化センターが捜査を受けたことも含め、外から、市民から見ている職員像と、市長のそれとでは職員に対する受け止め方が違うのではないのかと思う。一連の職員関与の実態について、どのように受け止めておられるのか。
(市長)
先ほど申し上げたように、組織として個々の仕事に対応することができていなかった。個々の担当者はまじめにやってきたが、組織としてのガバナンス等が非常に不十分であったと反省しています。人権文化センターは捜査も受けたわけですが、本来なら個々のケースに対する対応を大阪市という組織で、基準を明確にして対応すべきであった。これまでやってきたから継続するという組織風土を変えようと思っているわけで、その一環として、今回の事件を起点として、同種のことがないかどうか、全組織について総点検しようということです。
(記者)
この内部調査を、調査委員会などの組織に発展させて調査していくお考えはないのか。
(市長)
将来それが必要な時期が来るかも知れないが、現時点では、まず全体の事実関係をしっかりと把握したい。
コンプライアンス委員会も利用は可能でありますから、まずは事実関係を把握したうえで、その後のことは判断していきます。
(記者)
組織の問題であることは分かるが、一連の行為が組織として決定してやったことなのか、それとも個々の現場・個人レベルでやったことなのか分からないのが現状である。その中で組織の問題と言ってしまえば、責任が不明確というか、どこに問題があったのかが結局見えなくなるように思いますが、この調査では個人の責任は問われないのか。
(市長)
いずれにしても最終は組織の責任であって、そのような組織風土になっていなかったことに問題があると思っています。それぞれの個人も組織の一員として動いていたわけですから、その中で個人の責任があったのかどうかは別の問題です。調査は個々の職員の責任を追及するために行うのではなく、むしろ職員を今後守っていくために行うのです。組織として対応できていなかった点を課題として、まずは事実関係を把握したいと考えています。
(記者)
職務専念義務の調査については、今の話は当てはまらないと思うが、こちらの調査はどうなのか。
(市民局理事)
職務専念義務の調査については、受嘱関係も含めて適正に行われているのか、総務局が職員のヒアリングなども含めて、再確認していくこととしています。
(記者)
その調査の結果、問題が発覚した場合は、個人の処分も視野に入れているのか。
(市民局理事)
明らかな職務専念義務違反とか、公務員では制限されている営利業務への従事など、違反が明らかになった場合には、そういう扱いになると思います。
(記者)
まだ事実関係がはっきりしない段階ですが、こういう形で職員なり開発公社なりが問題に関与してきたことについて、市長ご自身としては以前からご存知だったのか。今回初めて知られたことなのか、ご感想を聞かせてほしい。
(市長)
私は組織の責任者であり、私自身も組織の人間でありますから、当然応分の責任があり、それを前提に今回の調査を進めようとしているものです。今、全貌を明らかに出来るか否かが、将来に大きな影響を及ぼすわけですから、まず事実関係全体を明らかにしたいと思っています。
私は、市長になる前にも職員のひとりであったわけですが、すべてのことを知っていたわけではなく、今回知ったことも多々あるのが実状で、そういう意味では組織を把握できていなかったと言われればそのとおりだと思っています。まずは、事実関係がすべて洗いだせる調査をしたいというのが、今の本心ですから、しっかりとやりきりたいと思います。
(記者)
基本的なことですが、運動体というと私は部落解放同盟しか思い浮かばないのですが、他にありますか。運動体はすべてが対象か。
(市民局理事)
他にもいわゆる運動体といわれているものはあります。
事業との関係で言うと運動体と契約しているものはありませんが、どこの団体と契約しているかということではなく、大阪市の事業として、或いは施設の管理として、どういう形で契約が結ばれているのか、そこに着目して調査を進めてまいりたいと考えています。
(記者)
事業体というのは人権協会のことなのか。
(市民局理事)
各々の地元で法人を持っている場合もあり、大阪市から委託なり、補助なりを受けているものもあると思いますので、そういうものも契約関係が適切に行われているかどうかを調査してまいりたいと思っています。
(記者)
同和対策特別措置法の期限後は、同和対策はなかったというのが大阪市の公式見解であり、西中島駐車場の件も、期限後の同和対策事業とは位置づけてこられなかった。しかし同和対策事業と何ら変わらない事業が続けられていたわけで、どれが同和対策事業であったのか、なかったのか、その線引きを明確にしないと調査にならないのではないか。その線引きはどこに置いているのか、どこまでを今回の調査対象にするのか明確にしていただきたい。
(市民局理事)
市長から先ほど申し上げましたが、特に飛鳥会の問題では、当初は同和対策の一環としての事業であったと思いますが、時の経過の中で、その使命が終わったものと考えています。実際に、この飛鳥会の駐車場の件は、特別措置法の失効直前に同和対策事業として把握していたものの中に入っていませんでしたが、そういうものも含め、同和対策の一環として始められたものについて、今回調査をするものです。
(記者)
そうすると特別措置法の期限後に、新たに始めた事業は調査の対象にならないのか。
(市長)
特別措置法の期限後に、新たに同和対策として始めたものはありません。それ以前のものを一部引きずってきていたものはあったと思いますが、法の期限後に新たに同和対策としてやったものはありません。一般施策として始めたものは、当然、行政として必要なものを事業として行っているものです。もちろんこういったものにも、全体像を把握するためにチェックはかけます。
(経営企画監)
事業の調査という切り口から見れば、そういうことになりますが、例えば土地の現在の管理ということに着目して調査するものについては、別に法の期限前や後ということは関係がなく、現在の管理状況がどうかという観点から調査することになります。
従って、対象をどの側面から見るのか、事業として見るのか、補助金・貸付金の事業として見るのか、或いは物としての未利用地の適正な管理という側面から見るのか、それぞれの性質によって調査対象自体も変わってくるものです。一概に特別措置法の期限前、期限後の施策というところで切れるものではないのです。
(記者)
では、例えば法期限後になされている人権協会への職員の派遣や、駐車場の管理委託など、つまり同和対策として始めた経緯があるもので、ここ1、2年に見直されたような事業は今回の調査の対象には入らないのか。
(市民局理事)
現時点で、契約の手続きやその内容、補助手続きなどが適切になされているかどうかについて調べてまいります。
(記者)
事業や契約が今も続いているものが対象になるのか。終了して済んでしまっているものは対象にならないのか。
(市長)
現在の状況の把握ですから、今続いているもの、現状をしっかりと把握したいと思っています。
(記者)
何度か言われている、「職員を守る」というのは、何から職員を守るということなのか。
(市長)
いろんな意味を含めて言っていますが、例えば外部の団体との狭間に立って、ひとり悩んだりすることのないように守りたいという趣旨です。一人で受け止めないようにと職員には話していますが、まだそういう組織風土になっていないこともあり、重ねて申し上げているものです。
市長記者会見(2006年6月2日)
【地対財特法の期限後の事業等の調査・監理委員会について】
(市長)
本日は、大阪市において当初同和対策事業の一環として始めた事業について、今後の方針を説明します。
まず、現在、市会でも問題となっている芦原病院の民事再生手続による処理の問題、そして飛鳥会をめぐる一連の事件と言いますか、顕在化した一連の事実・実態につきましては、大阪市が、社会や時代の変化の中で事業の使命を終えたと考え得る時点で、速やかに事業を見直すべきであったにもかかわらず、それを怠ってきたということが大きな原因だと考えています。この間、多くの市民を含む内外から厳しい批判を招いていること、また、地対財特法の期限であった2002年3月以降の度重なる市会の附帯決議など市会からも度々指摘を受けながら、我々行政サイドとして十分な見直しができなかったことについて、大阪市として、行政を預かる最高責任者として、率直にこの事実を認め、真摯に反省しなければならないと思っています。
そういう深い反省の上にたって、本日は、先日の記者会見の内容とも重なりますが、地対財特法期限後の事業等のあり方について、市長として次のような項目についてスピード感を持って取り組む決意をいたしましたのでご報告します。
大きくは4つの項目に分かれていますが、一つ目は、関連事業の総点検で、これについては先日も説明しましたが、社会情勢・時代の変化の中で、事業の使命を終えた時点で適切な見直しをしていなかったものについて、市会から指摘があったものも含めまして、同様のことがないか、他にも残っていないかどうかを、外郭団体も含めて徹底した調査を行います。調査内容は、地対財特法の期限内で同和対策の一環として事業を始めた経過がある事業で、法期限が過ぎた後も見直しをせずに事業が残存していて、コンプライアンスの観点や契約手続きの関係等から不適切と考えられるものがないかどうか、一般社会通念から見て、特別な優遇措置と市民の目から見て疑念をもたれるものがないかどうかを調査するというものです。対象は、委託事業、補助金・貸付金、未利用地等の使用、建物、用地等の使用貸借などです。
それと平行して、総務局がすでに調査を始めていますが、職員の法人等の役員への受嘱や勤務時間中の職務専念義務について、違反しているようなことがないかどうかも、適切に調査をします。調査期限は6月末を目途としますが、明らかに不適切なものはすぐにでも対応していきたいと思います。また優遇措置といえるかどうか、即断できないようなもの、グレーゾーンに含まれるようなものについては、7月中に取りまとめて、それに対する本市の方針を明らかにしたいと思っています。
二番目は、関連団体との協議のあり方についてです。
部落解放同盟も含めてすべての団体との協議のあり方について検討し、ガイドライン、ルールづくりを適切に行って、実行していこうということです。対象はすべての団体で、検討内容は、例えば協議の告知や要望書・議事録の公表などで、オープンにして透明性を高めるルールをガイドラインの中で明確にする予定です。6月中に、後述するプロジェクトチームが中心となって、ガイドラインの策定を目指すこととしています。
三番目に、政策的な課題、政策的に進めてきた施策について、これまでも指摘されてきている4つの項目・施策をあげていますが、これらについて適切に見直すこととします。
学校における管理作業員、給食調理員の配置、いわゆる加配と呼ばれているものや、青少年会館への職員の配置、保育所の保育士、そして、ふれあい人権住宅について公営住宅の募集地域を学校区などに限ってきていたものなどについて、今日的な視点から見直すというものです。早急に調査・見直しを進め、可能なものは19年度予算に反映できるようにしたいと思っています。また、残ったものについても、遅くとも20年度予算では、整理がついたということが見えるような形にしていきたいと思っています。
最後に、これらを実施する体制とその進捗管理ですが、市の内部から、経営企画監、総務局長、市民局長、財政局長、そこに弁護士や民間有識者など外部委員3名程度を加えたプロジェクトチーム、仮称ですが、「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」というプロジェクトチームを早急に立ちあげます。
プロジェクトチームでは、総点検調査に基づく市の方針の策定、先述の団体との協議に係るガイドラインづくり、そして政策的な課題について、外部委員の客観的なアドバイスもいただいて適切な方針を策定していきます。
いずれにしても大変な作業になりますが、大阪市の事業は不透明感があると指摘されてきた経緯も踏まえ、きっちりとした調査をして、問題をすべて洗い出し、今日的視点から見て透明感のあるものにしていきたいと思っています。差別を解消することが我々の最終目的でありますから、それに適う事業としてなされているのかどうか、はっきりと峻別して、見直すべきものは見直しができるよう、細部にわたる徹底した調査を指示しています。調査の後から、また新たな問題が出てくるようなことがないよう、職員を守る観点からも、徹底してやりきらねばならないと思っており、執行会議のメンバーも全員全力をあげて取組む強い意志を固めていますから、これをやりきりたいと思います。
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【主な質疑概要】
(記者)
学校における職員配置の適正化というのは、管理作業員等の数、配置されている人数を見直すということか。
(市長)
こういう学校の職種については、地対財特法の時代に同和対策事業として、いわゆる加配ということで、一般校よりも多く職員を配置してきた経緯がありますが、それを見直すということです。これらは法の期限後、市の施策としてやってきたことですから、私が決めなければならないことですが、一般校と同じにするという方向で施策を見直したいと思います。
この政策的課題については、プロジェクトチームの外部委員の意見も聞いた上で決めなければなりませんが、これまでも検討してきた課題であり、私も以前から考えてきたことなので、適切に見直したいと思います。
(記者)
端的に言うと、同和加配は止めると、そういう方針であるということですか。
(市長)
この管理作業員、給食調理員に関しては、加配を止めるという方針です。
(記者)
青少年会館については、職員配置を見直すということで、会館を閉めるとか、完全委託にするなどといったことは関係がないのか。
(市長)
そういったことも含めて検討したいと思っています。
(市民局長)
補足して申し上げますと、すでに職員配置を見直すということでは方針が決まっているものでも、その方法が職員の退職待ちということでスパンが長いものもあります。今回は、もう少しスピード感をあげるということで、その見直しのやり方そのものについても考え直すこととしています。退職待ちということではなく、例えばこの4月1日に、人権文化センターの2号職員が区役所の安全安心のための職員として配置されたということもありますので、そういうことも含めて、見直しのやり方そのものについても再考していくということを含んでいます。
(市長)
今説明があったように、見直しすることは決めていても、自然に退職者が出るのを待つといったスピード感のないことはしないということです。
(記者)
このタイミングで、この4事業の見直しを市長が明らかにされたのは、市会が芦原病院に関する債権放棄をめぐって議論噴出し、議案が提案できていないことが一因であると思うが、これらの見直しによって、市会も理解を示してくれるというご感触か。
(市長)
理解を頂かなければならない事項です。市会で審議してもらわねばならない事項は、もちろん提案して議論してもらわねばならないわけですが、私は理解していただけるものと思っています。
(記者)
いや、この4事業の見直しについては市会も理解されると思うが、芦原病院にかかる債権放棄について、これらの見直しを示すことで、市会の理解が得られると考えておられるのか。
(市長)
芦原病院にかかる債権放棄については、市会は市会の立場でお考えになる問題です。我々としては、市から公金を出さないという時点で、医療生協が経営について立ち行かなくなり、民事再生手続きをとったわけですから、私はこういう裁判所が関与した民事再生という枠組みの中で、芦原病院の経営が純粋の民間病院に委託されるプロセスを望んでいます。しかし、市会は市会の中で様々なご意見があるわけですから、これからどういう審議結果になるのかはわかりません。
(記者)
市側としては、姿勢を示したということなのか。
(市長)
我々は、芦原病院の民事再生手続きが成立することを望んでいますし、一方で、事業等については、本日申し上げたスタンスでやるということを明確に示したということです。
(記者)
先ほど、部落解放同盟という団体名称も市長ご自身の口からありましたが、先日の会見では、そういう具体の名称に踏み込まれることはなかったと思う。そういう意味で、この間、この問題に対するご認識が進んだように思うが、どうか。
(市長)
認識というか、協議の仕方が他とは違うことをやってきたという点はあったと思います。これは双方の責任ですが、この協議をあるべき姿に適切に改めたいと思っています。部落解放同盟以外にも、様々な団体があるわけですが、これらについても協議の仕方が良くないものについては、同じレベルで見直します。当然、部落解放同盟との協議についても例外ではないということです。
(記者)
部落解放同盟大阪府連と毎年協議をされていると思うが、それまでに間に合うように見直すということか。
(市長)
ガイドラインを策定して、それに則って協議をします。
(記者)
差別をなくすことが最終目的で、その目的に適っているかどうかをチェックするといわれたが、その目的に適っていないものがあったというご認識か。
(市長)
時代背景との関係で、使命を終えているのに事業を継続していたようなものは、かえって差別を助長していた側面もありうると私は思っています。そういう意味で、行政側が的確な、きちっとした姿勢を持たないといけないと考えています。
(記者)
学校における職員配置の適正化については、教員は対象に入っていないのか。
(市長)
これは、現段階では、対象に入れていません。教育問題とのからみがありますから。
(記者)
これまでの市の事業について、不透明な点があったのではないかということですが、今少し、市長の言葉で、これまでの課題なり問題点なりをご説明願えないか。
(市長)
運動団体が悪かったという問題ではなくて、行政サイドの組織風土にも大きな問題があったと強く反省しています。これは、やはりどこかで断ち切らないと双方にとって良くないと思っています。私は、行政サイドの反省を踏まえて、この機会に、抜本的にこれまでのやり方を見直して、正しいやり方で今後の事業を進めていくという趣旨です。
(記者)
青少年会館の職員配置の適正化について、2号職員が多くいるということですが・・・
(市民局長)
2号職員と言いますか、もともとは子ども会活動を行う社会教育主事補などが、社会教育施設が指定管理者制度などで配置先として限られるようになったために、配置変えが柔軟に行いきれていない実情が見受けられます。大阪市全体として、こうした職員の活用の仕方を考えていくべきだと思っています。
(記者)
青少年会館などの職員配置の適正化というのは、これまで職員数を固定していたものを流動化するということなのか、数自体を減らすということなのか。
(市民局長)
両方です。
(記者)
政策的課題の解消のところで、4項目のあとに「など」がついているが、これから何事業くらい見直しをされるのか。
(経営企画監)
これから課題も整理していく予定で、現時点で4項目をあげているということです。今後、作業を進める中で、各所属から新たな課題も出てくると思いますので、順次整理していきます。
(記者)
団体との協議といっても、いわゆる支部との交渉は、やっているところとやっていないところがあったり、内容も頻度もまちまちだと思うが。
(市民局長)
これまでのお互いの話し合いの結果、交渉の仕方も随分様変わりしてきています。府連との交渉は、ご存知のように公開で行うようになっています。以前の、差別の実態が厳しい時代には、行政の対応も遅れていたことがあり、各支部との交渉もかなり厳しいものがありましたが、一定行政の対策が進むにつれ、節度のある交渉ということで、そのやり方も各支部を含めて、かなり様変わりしています。交渉自体を行っていないところもありますし、現在は交渉するとしても要望を文書でもらうことが前提になっています。しかし、なお正すべき、見直すべき点もあろうかということで、他の団体も含めてルール化して、適切にやっていきたいということです。
(記者)
各支部で交渉の形式は、口頭であったり文書であったり、各支部でバラバラなのか。
(市民局長)
以前はいろいろありましたが、今は、文書で要望事項なり、協議事項なりを示してもらわなければ交渉はできませんという姿勢をとってきました。
(記者)
これからガイドラインを策定されるわけだが、今の時点でも、文書を出すということが前提であるというルールはあるということか。
(市民局長)
そうです。
(記者)
職員の職務専念義務についての調査で、市職員の運動団体役員への就任についても調査されるものと考えていたが、そのような調査はしないというある所属の見解もあり、どうされるのか方針を確認したい。
(経営企画監)
職務専念義務に関わるような受嘱について調べるのが調査の趣旨ですから、地元の町会の役員をやっているというような、専念義務に関係のないものは調査対象にはならないと思います。従って、専念義務について疑義を生じるようなものであれば、ご指摘のような役職も範疇にはいる可能性はあると思いますが、総務局に確認をお願いします。
(市民局理事)
職務専念義務についての調査ということで、職場を離脱する、しないという実態から入っていく調査です。専念義務について、違反することが確認できるものであれば、当然調査であがってくることになります。
(市民局長)
職務時間中に、法人や団体の役員の仕事をするには、休暇なりの手続きが当然必要なわけで、そういう観点から受嘱関係についても調査しようというものです。従って、職務の時間外に活動していたとしても、それは職務とは何ら関係がないものであり、また調べようもないものです。あくまで、職務に影響があるかないかの観点からの調査です。
外部委員ら決まる
大阪市は15日、財団法人「飛鳥会」を巡る業務上横領事件や旧芦原病院の経営破たんなどをきっかけに、同和行政の見直しにあたる「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」のメンバーを発表した。弁護士らでつくる外部委員4人と市幹部4人の計8人で構成。同和対策事業の根拠となった同法失効(2002年3月)後も続く不透明な政策の是正に取り組むほか、市と同和関連団体との協議ルールなどを検討する。
外部委員は、大阪弁護士会所属の小野一郎(57)、阪井紘行(64)の両弁護士、元大阪府警刑事部長で市入札等監視委員長の松下義行氏(61)、ジャーナリストで市政改革本部委員の細見三英子氏(57)。初会合は19日に開かれる。(2006年6月16日 読売新聞)
2006年6月18日 (日)
部落解放同盟との関係のあり方を見直すことを口実にした、市民団体への交渉拒否に断固反対する
http://yokusurukai.way-nifty.com/log/2006/06/post_c096.html
大阪市をよくする会
事務局長 福井 朗
芦原病院の不正融資・不正助成金問題や飛鳥会の小西容疑者逮捕など、不公正乱脈な同和行政に対する怒りが市民の間に渦巻いています。これは、大阪市が部落解放同盟に屈服して行政の主体性を失ったこと、一方で「解同」との癒着により、物言えぬ職場・地域づくりを進めてきたことを根本的に改める時期が来ていることを示しています。
こうした状況を受けて、関大阪市長は「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会について」とする文書を公表しています。「Ⅱ 団体との協議等のもち方についての検討」の中で「市政運営に当たっては、市民との意見交換は必要であるが、透明性を確保しながら団体と円滑に、また効率的に意見交換を行うために、団体との協議や意見交換の場のあり方について、ガイドラインなどのルール化を行う」としています。この流れの中で、部落解放同盟以外の市民団体も一律に見直しの対象とする動きがあります。具体的には、すでに設定している交渉を「ガイドラインができるまで応じられない」と拒否する態度を取っていることです。
見直すべきは、大阪市と部落解放同盟の異常な関係であって、この是正を理由に他の市民団体との交渉拒否をすることには、何の道理はありません。市民の声を直接聞き、施策に反映するのは行政の責務であり、民主主義の根幹に関わる問題です。大阪市が部落解放同盟の暴力に屈服し、その要求を丸呑みしてきたことは、行政としての主体性の放棄にほかなりません。そのことの反省をしないまま、表向きは是正するかのような態度を取りながら、実際には、市民の声に耳を傾けて施策に反映するという行政の責任を放棄することは、この点においても大阪市が行政の主体性を持ちえていないことの現れであると言わざるを得ません。
私たちは次のことを求めます。
1 行政の主体性を確立しない状況においては、暴力・利権集団である部落解放同盟との交渉を差し控えること。
2 すでに交渉(協議)が設定されている市民団体との交渉(協議)を、ガイドライン策定を理由に拒否したり、日程変更を一方的に行ったりすることは厳に戒めること。
3 ガイドライン策定作業中であることを理由に、当該期間中の交渉(協議)の設定の引き伸ばしをしないこと。
4 ガイドライン作成に当たっては、各市民団体との従前の経過を踏まえるとともに、意見を聞いた上で慎重に作成すること。特に、回数制限などの不当な制約などは決して行わないこと。
以上
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