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ネットを敵視し、根強い差別論から脱しきれない 朝日新聞社説

解放同盟 原点に戻る契機に
  朝日新聞社説 6月2日付

 職員に対する過剰な福利厚生で厳しい批判を浴びた大阪市で、今度は同和対策をめぐって長く温存されてきた利権があぶり出された。
 大阪市は、新幹線の新大阪駅に近い市有地に設けた駐車場の管理運営を、約30年にわたって雇用対策として財団法人「飛鳥会」に委託してきた。その理事長が、駐車場の収益を着服したとして業務上横領の罪に問われたのだ。
 飛鳥会は同和地区の福祉向上を目的に設立された。理事長は逮捕されるまでの約40年間、部落解放同盟の支部長を務めた。山口組系暴力団の元幹部でもあった。飛鳥会と解放同盟の支部は同じビルに入り、飛鳥会に常駐していた大手銀行員が金の出し入れをしてきた。
 駐車場の収益は約2億円とみられる。しかし、飛鳥会が市側に渡していた額は、最近の数字をみても年間1800万円ほどにすぎなかった。
 大阪府警は03年からの2年間だけで約1億円が流用されて、ベンツや宝飾品の購入などに充てられたとみている。一部が暴力団に流れた疑いもある。
 75年には市議が議会で駐車場運営の実態を追及したことがある。88年には理事長が暴力団幹部だったことも議会で明るみに出た。このような事実を知りながら、放置してきた市の責任は重い。
 特別措置法に基づく数々の同和対策事業は、69年度から01年度まで続いた。この間に、大阪市では約1兆2千億円が同和対策に使われた。対策事業は、部落差別を助長していた劣悪な住環境の改善や教育支援などで成果をあげた。
 一方で、行政と特定の団体との間に癒着が生まれた。大阪市はこれを機会に、運動団体とのあり方を見直す方針だ。
 部落解放同盟も、組織としての責任を免れない。解放同盟大阪府連は「真摯(しんし)に反省し、率直に謝罪する」と機関紙でわびた。現職支部長の不正を長年見過ごしてきたのはなぜか。自らきちんと解明し、説明責任を果たしてもらいたい。
 これまでも京都市の解放同盟の支部が補助金を不正に受け取っていた問題のほか、高知県の副知事らが同和対策として12億円の不正融資をした背任事件などが起きている。
 解放同盟はこれらの出来事を取り上げ、03年、「社会的責任と信用に基づく部落解放運動の実践」という文言を運動方針に入れた。組織と運動の改革が必要だとも書いている。
 部落差別は、いまなお根強く残っている。ネットの世界に潜り込んだ陰湿な差別も後を絶たない。一人ひとりの人権を守り、差別解消をめざす施策がこれからも必要なことは言うまでもない。
 だからこそ、差別の撤廃をめざす解放運動は、多くの人たちの共感を呼ぶものでなければならない。
 差別の激しかった戦前に生まれた水平社を引き継ぎ、部落差別と闘ってきた解放同盟である。いまこそ組織を見直し、運動の原点に戻る気概を求めたい。

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