不正の蓄積にほおかむり 大阪の教訓か
徳島市議会3月10日
日本共産党河野みどり議員の質疑
◆17番(河野みどり君)
続いて、同和行政の終結について質問をいたします。
1969年、昭和44年に同和対策事業特別措置法、いわゆる同対法が10カ年の時限立法として始まって以来、何度も延長が繰り返され、2002年、平成14年3月31日で同和対策特別法の期限が切れ、本市も事業の見直し、廃止または一般対策へ移行する取り組みが進められてきました。一般対策へ移行した事業のうち、隣保館事業について今回質問をいたします。
旧同和地区に建設されてきた隣保館は、本館8館、分館1館、公会堂2館、全部で11館となっています。そこでまず、隣保館の管理についてですが、国府町芝原にあるむつみ会館には分館がありますが、かつての同和対策特別委員会でもこの問題を取り上げてきたところですが、いまだにこの分館の管理運営が非常に不透明であり、利用者もごく一部の者だけであり、施設を使用するときには使用願いを提出する義務があるのに、その用紙さえ作成されていなかったり、管理責任者の館長が、分館のかぎがあるのにそれを全く別の人に預けていたり、出入りを自由にさせるなど、まさに隣保館の私物化が常態化しており、同和対策課の時代からそれを容認している人権推進課及び市長らの幹部の態度は、本当にあきれるばかりです。分館には管理人もおりませんし、本館から完全に死角になっているだけに、施設管理に問題が起きやすいと思います。むつみ会館本館の利用者があふれているならいざ知らず、利用実績を見ましても、同じように特定の人たちだけが入れかわり使用しているというのが実態です。
そこでお伺いをいたしますが、本市は経費節減を掲げて全面的な事業見直しを図っているのですから、このような分館を廃止すべきだと考えます。見解を求めます。
次に、現在隣保館で実施している事業のうち、職業相談、就労相談についてお伺いをいたします。これは同和対策事業が行われてきたときからの事実上の継続事業ですが、この相談員についてお聞きします。
本市はパートバンク支援事業とは別に、雇用促進事業ということで、ある人物を就労相談員として業務委託契約を結んでいます。本市が契約している人物は、県の就労対策員として特別職職員として雇用されています。この契約の業務内容は県も市も全く同じ内容で、関係機関及び関係団体との連携、あるいは休職者への職業相談及び援助などとなっています。担当課によれば、県の雇用する就労対策員を市が業務委託という形で受け入れ、石井町を含めて9館の隣保館を訪問しているという報告です。しかし、現場の隣保館長の話では、ハローワークから毎月1回の労働相談日に職安の人が来ているが、それ以外の相談員は来たことはないとのことです。また、直接労働局などに伺ってきましても、ハローワークから職員を派遣しているが、それは国が雇用している正規職員の担当者1人が隣保館に巡回相談に出かけており、個人情報など重要な資料を持参するので、外部の者に職業相談はさせていないと言います。しかし、本市の担当課に保管されている就労対策員業務実施状況報告では、相談員の名前入りで毎月決まって報告書が提出されており、各隣保館を巡回していると記載されています。隣保館長や労働局のお話が事実であれば、架空の相談事業報告がされていることになります。さらに、この相談員はハローワークに出勤するものの、午後からは外出したまま、戻ったかどうかをチェックされることはないと言います。市の業務委託契約では時間の制約はなく、県の就労対策員設置要綱では地方公務員法3条3項の職員ですから時間は定められているはずですが、県に問い合わせをしてもハローワークで働いているでしょうと、全く手放しの状況です。また、この相談員は解放同盟の徳島ブロック議長であり、解放同盟県連の幹部活動家でもあります。そして、この業務委託契約は同和対策事業のときから同じ人物と契約しており、県の担当課によれば昭和53年から雇用関係にあるというものです。
そこで質問いたしますが、この職業相談事業が、同和対策が終了しても事実上継続されたのはどういう理由なのか。なぜ廃止しなかったのか。さらに、県が雇用している職員を、業務内容も全く同じなのに、なぜ徳島市が業務委託契約を結んでいるのか、明確な説明を求めます。
さらに、国の事業としてハローワークが行っている事業に、県が独自に県費で雇用している者をさらに本市が委託料を支払うのは、余りにも不自然としか言いようがありません。だれが見ても、解放同盟の幹部に対する特別扱いではないのかという疑惑を抱かざるを得ません。私は先日、滋賀県大津市や近江八幡市などに行ってきましたが、法が失効したときから就労相談は全く扱ってはおらず、すべて国のハローワークを直接紹介しているとのことでした。それが当然の常識ではないでしょうか。
そこでお聞きしますが、疑惑だらけの就労対策員の委託契約は即刻廃止すべきではありませんか。県が雇用する職員を、同じ業務内容で二重に委託する必要は全くないと思いますので、明快な御答弁を求めます。
以上、答弁をいただきまして、再問を続けさせていただきます。
◎市民環境部長(佐藤吉則君)むつみ会館分館を廃止する考えはないのかとの御質問に御答弁申し上げます。
むつみ会館分館は、本館の補完施設として平成6年に開設し、主に他地域との交流学習会の場、また、地域高齢者の識字学級や各種講座や外国人との国際交流を行う生活文化学級の場として、さらには地域の伝統文化継承・普及のための活動の場など、地域住民の自主的な諸活動に活発に利用されております。その利用回数は年間200回を超えております。これらの活動は、国の隣保館設置運営要綱に基づく人権啓発を目的とした活動であり、また施設の管理についても館の職員が適正に行っており、今後とも適正な管理に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎経済部長(勝野同君)同和行政終結について、御答弁申し上げます。
御指摘の雇用促進事業につきましては、平成13年度末に同和対策雇用促進事業を廃止し、平成14年度から新たに一般対策事業として、障害のある方や外国人などの就職困難者の就労を支援するために実施いたしております。事業の実施につきましては、ハローワークを拠点に業務を遂行しております県の任命した就労対策員に業務委託をいたしております。本市といたしましては、雇用施策についてハローワークと県にそのノウハウや情報を依存している現状から、本市が実施する就職困難者の就職促進業務の委託に関しましては、県の就労対策員を選定してきたところでございます。今後、委託業務等につきましては、御指摘の事項を踏まえまして十分調査をいたしまして、ハローワークや県など関係機関と協議いたしまして対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆17番(河野みどり君)
就労対策員については十分調査して対応するとのことですので、さらに委員会でもこの点についてははっきりさせていきたいというふうに思っています。
むつみ会館分館の件ですが、納得できる適正な運営がされているとは、私、到底思えません。例えばだれも住んでいない分館に洗濯機があったり、館長も人権推進課も知らないうちに玄関に自動センサーライトが設置されていたり、館長が許可してもいないのに駐車場にはいつも同じ軽四が占有していたり、余りにも不自然な実態があります。さらに、昨年私は情報公開手続により、解放同盟県連からの要望に対する徳島市の回答書を入手しました。これを見ましたら、平成12年当時、同和対策課が解放同盟芝原支部の要求で、むつみ会館分館の改築と倉庫の新設を約束しています。この問題についても、地元から特別扱いではないかと批判の声が上がっています。本市は経費節減だと言って福祉、教育費を削り、多くの市民や職員に我慢を押しつけているのに、こういったところには惜しみなく金が使われるのでは、いつまでも同和問題の解決はできないと考えます。やはりむつみ会館分館はきっぱり廃止すべきです。この分館の建設に当たっては、国の補助事業としての隣保館建設ではないと聞いています。地元の解放同盟青年部が強く要求をして、県の補助事業として市が建設したものです。このようなだれが見ても不自然で不透明な分館は廃止すべきです。市長の御答弁を求めます。
さらに、隣保館事業が一般対策として移行されていると言葉では言うのですが、国はもとより県も市の条例も、旧態依然として一部の者たちへの優遇措置のために事業が展開されている部分があり、隣保館の事業内容を見ても、就労相談と言いながら不透明な相談員の存在や、隣保館の建物そのものにしても、むつみ会館分館のように一部の者たちの私物化が長い間続いているという実態を見ても、これはもう同和問題解決に逆行するものにほかならないと思います。また、隣保館をコミュニティー的施設として運営するとしても、同和対策事業の時代から深くかかわってきた解放同盟など運動団体との関係をきっぱり断ち切るべきです。そのことが同和行政の完全な終結を目指すことになると考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
答弁をいただきまして、再問を続けます。
◎第一助役(錦野斌彦君)御質問の同和行政につきましては、隣保館事業また人権推進を所管しております私から御答弁をさせていただきます。
〔「市長と言ったんですよ」と呼ぶ者あり〕
◎第一助役(錦野斌彦君)御質問は3点ございました。
まず、むつみ会館分館廃止の御質問につきましては、先ほど担当部長から御答弁申し上げましたとおり、当館は人権啓発のため、地域内外の住民の方々の交流の場として利用されており、今後とも適正管理に努めてまいりたいと考えております。
次に、むつみ会館分館の利用実態や職業相談のあり方が、同和問題解決に逆行しているのではないかとの御質問でございましたが、同和問題は昭和44年の同和対策事業特別措置法の施行以来、33年間にわたる特別対策の実施によりまして、ハード面では一定の成果を上げることができました。しかし、結婚問題や就職問題など心理的差別については、依然として課題が残っていることも事実でございます。このため、国の人権教育・啓発に関する基本計画にも示されておりますように、人権啓発の拠点としての隣保館の役割や就職困難者に対する就労対策を実施することは、問題の解決に資することはあっても逆行するものではないと考えております。
最後に、部落解放同盟との関係についてでございます。先ほども申し上げましたとおり、人権問題解決のため、部落解放同盟に限らず、広く関係各種団体と連携・協力関係のもとに公平・公正に施策を展開していくことは、同和問題の解決のみならず、あらゆる人権問題の解決にとって重要なことであると認識いたしております。今後とも公平・公正を旨として取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
◎市長(原秀樹君)河野議員の御質問、図書館の指定管理者制度導入について、お答え申し上げます。
去る12月議会に河野議員に私が御答弁したように、市民サービスの向上を図って、また経費の節減を図る目的として、指定管理者制度を導入する方針に何ら変更はございません。
〔17番 河野みどり君登壇〕
◆17番(河野みどり君)私が市長に御答弁を求めた同和行政終結についての問題、これがなぜか錦野助役にすりかわるという、私は議場の上から市長と名指しをしたのに、何で答えられないんですか。助役は何で答えるんですか。ますます疑惑が深まるんですよ。問題がないと言うなら、ないとすっきりと市長の口から言わないとだめですよ、それは。それと私は、就労対策の問題を指摘しているのではありません。今回の場合は就労対策員にかかわる、人にかかわる問題について疑惑があるということで指摘をしているのであって、問題のすりかえはだめですよ。
同和行政終結について、これはもう時間の関係がありますので、担当委員会も含めて議論をせざるを得ませんけれども、これは明らかに異常な状況にある。このむつみ会館分館についてですけれども、私はやはり廃止しかないだろうというふうに思います。ぜひ十分に現地調査も含めて調査をして、その実態を明らかにさせながら、解決していただきたいというふうに思います。これは原市長に言うとるんですよ。あなたは選挙中に、互助会事件など不公正な市政をただすとか、負の遺産を清算するなどと約束されてきたと思うんですよ。そういったことで言うと、今のような問題が指摘された場合、真正面から前向きに答弁しないでどうするんですか。私はそういう立場に立って決断をしていただきたいというふうに思います。
また、隣保館の管理運営事業についてですが、だれもが納得するものに、ぜひ抜本的に見直して、就労対策については、先ほども言いましたけれども国の事業として行い、隣保館内での不明瞭な相談事業はきっぱりと廃止をしていただきたいと思います。さらに、同和対策は終了したとして同和と名のつく事業は終了したと言いながら、就労対策事業に見られるように事実上の特別枠が存在している。そのために、解放同盟幹部などを行政が雇用せざるを得ないような構造的な実態を根絶するべきだと強く指摘をしておきます。
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