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共謀罪法案は市民活動弾圧法 ふたたび廃案をめざそう

共謀罪創設の法案審議入り、政府・与党成立目指す

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060421i205.htm?from=main2

 テロの未然防止などのための「共謀罪」創設を柱とする組織犯罪処罰法など改正案は、21日の衆院法務委員会で、杉浦法相が趣旨説明を行い審議入りした。与党は修正案を提出した。

 政府・与党は、今国会での成立を目指している。

 共謀罪の創設は、2000年に日本が署名した国際組織犯罪防止条約の批准に向け、国内法を整備することが目的。現状では、テロに協力する容疑者の日本潜伏が判明しても、国内法に抵触しない限り逮捕できないが、共謀罪に問うことで計画段階でも逮捕が可能になる。

 改正案は当初、2003年の通常国会に提出されたが、審議が進まず、廃案や継続審議を繰り返している。

 与党の修正案は、〈1〉共謀罪が適用される団体を、殺人などの重大犯罪を実行する犯罪組織に限定する〈2〉共謀罪が適用される行為を、現場の下見や凶器購入資金の調達といった「犯罪実行のためにする行為」に限定する――というもの。

 民主党も、共謀罪の適用範囲を国際的な犯罪に限定するなどとした修正案をまとめており、早ければ来週にも提出する方針だ。

(2006年4月21日13時9分  読売新聞)

4月21日(金) 共謀罪

江田五月http://www.eda-jp.com/

11時半から、衆議院法務委員会を傍聴しました。参議院先議で衆議院に送付された、窃盗や公務執行妨害の法定刑に罰金を加えるなどの刑法等改正案の質疑で、12時20分ころ、採決されました。ところが引き続いて、法務大臣が共謀罪法案の趣旨説明を行い、さらにこれに対する与党の修正案の趣旨説明まで行われました。これは、与野党合意に基づいておらず、野党は激しく抗議しました。しかし、退席はしていません。

共謀罪法案は、内容に問題が多く、既に2回廃案になっています。さすがの与党も、この内容ではまずいことを認め、修正案を提出せざるを得なかったのです。それなら、野党との意見調整をもっとしっかり行うべきです。それなのに、なぜか法案処理を急ぎ、合意のないまま法案と修正案の趣旨説明を同時に行うという、訳の分からないことを強行しました。共謀罪の危険性を、身をもって示していると言えます。



共謀罪与党修正案についての会長声明

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/060421.html

本日、衆議院法務委員会は、共謀罪導入のための法律案について審議入りし、与党から修正案が提案された。
この修正案は原案に比べれば、一部にその適用範囲をせばめようとする部分はあるものの、この間一貫して当連合会が指摘してきた問題点は解決されていない。

第1にこの修正案は、あくまでも団体の「活動」に着目して限定を加えたものであって、必ずしも、「団体」がどこまで限定されているかは明らかでない。現実に過去に犯罪を遂行してきた事実も要件とされていない。団体の一部の構成員が一定の犯罪の共謀を行ったことのみをもって、団体に犯罪目的ありと解釈される可能性がある。むしろ端的に、文字通りの組織犯罪集団が関与する場合に適用範囲を限定するべきである。

第2にこの修正案においては、共謀に加えて、「犯罪の実行に資する行為」が必要とされている。この概念は、犯罪の準備行為よりもはるかに広い概念であり、犯罪の実行にはさしたる影響力を持たない精神的な応援などもこれに含まれる可能性があり、共謀罪の適用場面において、ほとんど歯止めにならない。少なくとも、犯罪の実行の「準備行為」が行われたことを明確に要件とするべきである。

そもそも、本法案は、もともと下記のような問題点を有しており、この点は修正案でも解消されていない。

第1に、本法案が導入しようとする共謀罪は、犯罪が実際に発生する以前、関係者が犯罪を起こすことを合意したことのみで処罰できるとするものである。刑法では、予備行為を処罰する犯罪でさえ殺人罪等ごく一部に限られていたのであり、本法案は、このような刑法の体系を根本から覆すものである。

第2に、対象犯罪が619にも及び、あまりに広範な内容となっている。現実に組織犯罪集団が行うと予測される犯罪類型に限定して立法することは可能である。

第3に、本法案は、国連越境組織犯罪防止条約に基づいて作られたものであるが、同条約は、国境を越える性質を持った組織犯罪を防止する目的で起草されたものである。条約の批准を一部留保するなどの方法によって、我が国の国内法として、国境を越える犯罪に限って適用する旨を規定することは、条約の趣旨に反するものではない。

第4に、自首した者の罪を減免するという規定が盛り込まれているが、この規定は、一旦共謀に加わった者は、犯罪の実行をやめることを合意してもそれだけでは共謀罪の適用を免れることができず、さらに警察に自首する以外に刑罰を免れる手段がないことを示している。この点は共謀罪の本来的な問題点を如実に示すものであると同時に、共謀を持ちかけた側のみが自首により刑罰を免れることがあり得るという点で、この規定自体にも問題がある。

以上の通り、この修正案がいくつかの点で限定を加えた姿勢については一定の評価はしうるものの、この法案がもともと有している多くの問題点は是正されておらず、当連合会は、この法案には強く反対し、その抜本的見直しを求め、運動を継続・強化していくものである。

2006(平成18)年4月21日

日本弁護士連合会
会長 平山 正剛

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