熊本県庁でも先例主義がネックか
日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
2005年 9月定例会 9月15日
一般質問
http://www9.plala.or.jp/jcp-matsuoka/hatugenn050915.htm
同和問題について
松岡
次ぎに同和問題について執行部に伺います。03年11月議会の一般質問でも詳しくとりあげたところでありますが、あらためて整理しますと、まず旧身分にかかわる差別は大幅に減少してきており、周辺地域との生活上に見られた格差は基本的に解消されております。かつての部落の構成や実態も大きく変化し、部落の閉鎖性も弱まり社会的交流が大きくすすみました。格差の是正については、政府の93年度調査の段階ですら基本的に実現していることを裏付けています。現時点ではさらに前進していると言えるでしょう。部落住民自身の努力と33年におよぶ特別対策の実施によるものです。一部に残る偏見の克服は、国民の人権保障を求める運動の前進、部落内外の住民の自主的な取り組みの促進、国民の自主的な学習・討議などによって解決すべきものです。若干の格差の事例が挙げられたりしますが、それらは以前のように一概に部落差別の結果とだけ言えるものではありません。それらはすべての部落にほぼ共通してみられる現象ではなく、特定の部落や階層に見られる部分的限定的な問題として現れており、これらの解決は、部落問題というより社会的共同のなかで解決していくべきものです。
部落解放同盟などの活動の唯一のよりどころになっている「人権教育・啓発法」についても、法務省・文部科学省による「人権教育・啓発に関する基本計画」は、「国民の自主性の尊重と教育・啓発に関する中立性の確保」ということで、「担当する行政は、特定の団体等から不当な影響を受けることなく、主体性と中立性を確保する」ことを基本的なあり方として示しています。
1昨年11月議会の質問で、私は、660単位、14万7000人の県PTA連合会への補助金は84万円、クラブ数3067、会員数19万5000人の老人クラブ連合会へは162万円であるのに対して、支部数32、会員1200世帯の部落解放同盟には、知事部局、教育委員会合わせて4000万円が支給されていることは、「財政健全化計画」で、補助金の廃止、縮減をうち出している中であまりにも不公平ではないかと問いました。これに対して環境生活部長、教育長ともに、「財政健全化の取り組みを見極めつつ検討していきたい」との答弁がありました。ところが、今年度は「部落解放同盟」「同和会」への補助金が、あわせて5386万5千円という多額のまま、前年度額が維持されています。 昨年までの削減から逆に維持への転換となった理由・根拠はなんでしょうか。環境生活部長、教育長に伺います。
環境生活部長
平成8年の、国の地域改善対策協議会意見では、依然として差別意識が存在しており人権侵害による被害の救済が必要であることから、いわゆる特別措置法失効後においても適切な施策を講じていくことが必要であると指摘をされております。また平成12年に人権教育及び人権啓発の推進に関する法律、が制定され、国及び地方公共団体の責務として、人権教育啓発に関する施策の実施が盛り込まれたところでございます。県では、この法の主旨を踏まえ、平成16年3月に熊本県人権教育啓発基本計画を策定し、人権教育啓発等の施策に積極的に取り組んでいるところでございます。その取り組みを効果的に進めるためにも、部落解放同盟熊本県連合会、及び全日本同和会熊本県連合会との連携が今後とも必要と考えております。この両団体への補助金額につきましては、平成13年度から17年度までの5ヶ年間を計画期間とする、県財政健全化計画に沿った取り組みとして、平成15、16年度の二カ年間にわたる計画的な削減を終えたところであるため17年度においては削減しなかったところでございます。なお、今後につきましては、本年2月に策定した県行財政改革基本方針のなかで、県単独補助金のあり方の見直しを進めることとしており、両団体への補助金についてもこの方針に沿って引き続き検討してまいります。
教育長
教育委員会におきましては、人権文化の創造に向けて、同和問題を人権問題の重要な柱としてとらえ、あらゆる場を通して人権意識を培え、差別意識の解消に向けた人権教育を推進しているところでございます。しかしながら、同和問題をはじめとする様々な人権問題が存在しているのも事実であります。これらの問題解決に向け、日ごろから努力しておられる両団体が実施する各種研修事業等は、人権教育を推進するうえで意義があると考え、県教育委員会といたしましては、補助金交付要綱等に基づき、必要な財政的支援を行ってきたところでございますが、この両団体への補助金額については、平成13年度から17年度までの5年間を計画期間とする、県財政健全化計画に沿った取り組みとして、平成15、16年度の2カ年間にわたる計画的な削減を終えたところであるため、17年度については削減しなかったところでございます。なお、今後については、本年2月に策定した県行財政改革基本方針にそって、本県の人権教育啓発を推進する上での役割と機能、施策遂行の効果等も検討しながら、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
松岡
私は、去年まで下げて、なぜ今度は減らさなかったのかということを聞いているわけであります。というのは、県行財政改革基本方針では、県単独補助金については見直すということで、現に17年度は1億2千万円の削減がなされています。なぜ、そのなかから同和関係団体だけが除かれたのかということを問題にしているわけです。今の答弁はお二人とも、まったく私の質問に答えていない。再度答弁を求めたいと思います。
念のために、部落解放運動と関係運動団体との関連をどうとらえるかという問題で、私はすこし理論的に整理をしておく必要があると思いますので述べたいと思います。同和関係団体への補助金を考えるうえで部落差別の課題の到達と運動団体の関連について、正確にとらえることが大事です。今日いわゆる部落差別問題は基本的に解決をみる段階にあり、残された課題については、部落住民を主体にした部落解放運動で実現できるものではなく、地区内外を問わず社会的共同によって取り組みを前進させるべきものであります。このことは、旧賎民身分の部落と住民を対象にした部落解放運動および運動組織の役割を超えるもので、部落解放運動と運動団体は歴史的使命をおえる段階にあるといえると思います。全国部落解放運動連合会が、昨年4月、会を終結解散させ、全国地域人権運動総連合に発展させたのはそのゆえであります。ですから、逆に部落解放同盟や同和会の組織の存続、拡大強化を図るということは、部落と住民の区別を旧身分で固定化させ、事態を逆戻りさせる役割を担うことにならざるをえません。補助金問題をこの角度から、県執行部としても教育委員会としても改めて深めることが必要であろうと思います。いずれにしろ、なぜほかは減らして、同和団体だけが維持なのかということにはこたえておりませんので、再度明確な答弁を求めたいと思います。
環境生活部長
平成17年度に削減しなかった理由は先ほど述べたとおりでございます。今後につきましては、県の行財政改革基本方針にのっとって引き続き対応してまいります。
教育長
平成17年度の補助金額が前年度と同額になったことについては先ほど私がお答えしたとおりでございます。今後の補助金額については、これも先ほど申し上げましたように県行財政改革基本方針にそって、施策遂行の効果等も考慮しながら、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
松岡
要するに、県業財政改革指針で、ほかのところは削られている、同和関係だけ削られていない。今の教育長の答弁などはまったくかみ合っていないと思います。繰り返してもしょうがないですから、申し上げたいのは、こういう問題は、誰が見てもですね、客観的に見てあきらかに不正常な補助金の額だし、取り扱いだと思います。私は、カギはいろいろな圧力があっても、行政の県民に対するとして、勇気を持ってことにあたるということが今求められているのではないかと思います。その点でも、教育長においても、環境生活部長においても、心してこの問題ではがんばっていただきたいと思います。
次に教育長に伺います
上益城郡内の特定の教育集会所での学習会についてですが、小学生1人に対して教師3~4人、中学生2人に対して教師2人で学習会をやっている、恒常的にですね、ということですがあきらかになりました。こういったものは、どういう位置付け実施されているのでしょうか。
それから、1977年策定の「熊本県同和教育基本方針」は、「現代の社会においても部落差別は拡大再生産されている」という基本認識にたっています。これは国の全国調査、現実の実態などあらゆる面からみて、適切でないというより明らかに誤まった認識です。廃棄すべきだと考えますが、いかがでしょうか。以上2点、教育長に伺います。
教育長
まず、教育集会所における学習会のあり方についてでありますが、関係市町村教育委員会において、地域の実状に応じた主体的な取り組みが行われているところであります。学習会の実施にあたっては、市町村教育委員会から委嘱を受けた教職員が、自主的に参加していると認識しております。私ども県教育委員会といたしましては、毎年度数箇所を選定し、運営状況を調査しているところでございますが、さらに実態把握に努めますとともに、児童生徒一人一人に確かな学力を保証し、適切な進路の保障がなされるよう、各市町村教育委員会と連携をとりながら助言をしてまいりたいと考えております。
次に、熊本県同和教育基本方針についてでありますが、本県の人権教育、同和教育を推進するにあたっては、一定の成果をあげてきたものと認識しております。県教育委員会が人権教育推進のよりどころとしている、「熊本県人権教育啓発基本計画」や毎年示している「人権教育取り組みの方向」にも基本方針の理念は引き継がれておりますが、今後もこの理念は大事にしてまいりたいと考えております。しかしながら昭和52年に策定された基本方針は、一部現状にそぐわない内容も見られるようになっておりますので、検討の時期に来ているのではないかと考えているところでございます。
松岡
私は、現地に調査に行きまして、関係住民の方々、教育関係者からも聞き取ってものをいっているわけですから、もっと踏み込んだ調査をしていただきたい。また、この指針の問題、基本方針の問題も、一部ではなくそれが基本にあるからすべてがおかしくなるわけです。そこのところを深めていただきたいと思います。
教育の課題としては、特別支援教育の課題も重要です。同和加配がなくなり支援教育加配に移行・発展しましたが、こうした発達障害児童生徒のための加配はなされていません。また文科省の国立教育政策研究所が中心となった調査では、教員は、平日平均11時間働いており、「教師を辞めたくなるほど忙しいと感じたことがある」割合が61%にのぼっています。全日本教職員組合の調査では、土日、祝日も学校や部活動で勤務する教員が多く、それを含む超過勤務は、月平均80時間10分ということです。厚生労働省は過労死の危険ラインの超過勤務が月80時間としていますが、現場の先生たちは大変であります。そんななか子ども1人に先生3~4人というのは、ひどい実態だと言わざるをえません。町教育委員会、学校の自主性、県は助言というようなことを教育長はおっしゃったが、そもそも県が、さきほどもうしあげましたように誤まった状況認識の同和教育基本方針をそのままにし、多額の団体補助金を出し、全国唯一、同和問題を前面に押し出したに「こどもフェステバル」を開いたりしていることが全体の悪い意味での推進力になっていることを自覚すべきです。厳しく改善を求めたいと思います。
どこかおかしいのではないの熊本 県?
人権(同和)
問題報告会
国は国民的課題である人権問題の中心だった同和問題が基本的に解決したとして2002年3月末で地域改善対策に関する特別法を終結しました。
熊本市などは法の終結を受けて、「同和対策室」を廃止し、あらゆる人権問題を取り組む「人権推進総室」を設置し、関係団体への補助金制度も廃止しました。
しかし、熊本県は「人権同和課」や「人権同和教育課」が『人権問題の中心は同和問題である』として依然として同和問題を他の人権問題の上におき特別扱いにしています。又、県は財政困難と言いながら部落解放同盟等の運動団体に毎年 4,000万円もの補助金を支出しています。
本来中立であるべき教育現場には運動団体の教育介入が酷く先生方は学校内の教育が終わってから夜遅くまで地域の子どもに勉強を教えに行かされ疲れはてています。多くの県民・市民に現状を知っていただきたく報告会を開催いたします。
日 時:2006年2月10日(金)6時30分
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