まだまだ闇
大阪市幹部は
「同和対策を理由にした特別扱いが許されない時代になった」と
駐車場委託先に15億円配分 大阪市公社
06年02月25日 朝日
西中島駐車場の料金収入と納入金の推移
大阪市の外郭団体の市開発公社(同市中央区)が30年余りにわたって財団法人飛鳥会(大阪市東淀川区)に随意契約で直営駐車場の業務委託を続けていた問題で、これまで計約18億円の運営収入がありながら、公社が飛鳥会から約3億7千万円しか受け取っていなかったことが公社の内部資料でわかった。この差額は財団の収入になっており、公社と財団の契約は駐車台数にかかわらず、一定額しか公社が受け取れない異例の内容になっていた。
公社は22日、飛鳥会に対し「諸般の事情により西中島駐車場から撤退する」として契約は更新せず、3月末までに駐車場を明け渡すよう求めている。
公社によると、この直営の西中島駐車場は、同市淀川区のJR新大阪駅近くの市有地に1974年に開設された。約3700平方メートルの土地で90台収容できる。当初から、旧同和地区住民の福祉や生活向上などを目的に設立された飛鳥会に業務委託し、1年ごとに契約を更新する形で随意契約を続けている。
契約では、公社は飛鳥会から、路線価などに基づく道路占用料や一定額の設備使用料などのほか、利益配分金を受け取ることになっている。しかし、この利益配分金の算出根拠はなく、年1回の更新時に市側の担当者を交えた3者の話し合いで額を決定しているという。
公社がまとめた駐車場利用状況を示す資料などによると、05年3月までの1年間で、飛鳥会は駐車料で約7100万円の収入がありながら、公社には利益配分金800万円を含む約1800万円しか納入されず、全収入の約4分の3が飛鳥会に入っていた。開設当初からこれまでの駐車料収入は計約18億3500万円で、このうち公社に納入されたのは約3億6700万円に過ぎなかった。
公社は直営駐車場を計25カ所で運営しているが、このうち西中島駐車場など2カ所を除く23カ所では、公社が料金収入をすべて納入させ、委託先には委託料として人件費などの経費を支払う契約になっているという。
市監査委員は昨年2月、「競争性が確保されるよう契約方法を検討すべきだ」と指摘した。公社の担当役員は、委託が始まった経緯について「市の同和対策事業の側面もあって、飛鳥会との間で駐車場の業務委託が決まったと聞いているが、詳しいことはわからない」と話している。
●「営業努力も」雇用の継続を
飛鳥会側は、公社の決定を受け入れる方針だ。ただ、公社側が駐車場事業を引き継ぎ、数十人の従業員を継続して雇用するよう要望していくとしている。飛鳥会関係者によると、駐車場は新幹線の運行時間帯に合わせて午前5時~翌午前0時まで、従業員3交代制で営業。新大阪駅前から駐車場まで送迎バスを運行するなど「営業努力を続けている」(関係者)という。
●同和行政のゆがみ露呈
西中島駐車場の廃止について、大阪市幹部は「同和対策を理由にした特別扱いが許されない時代になった」と語る。市は昨秋以降、同和対策の拠点だった芦原病院への貸付金130億円の未回収問題や、大阪府同和建設協会加盟業者による官製談合事件などで批判を浴びてきた。02年3月に地域改善対策財政特別措置法(地対財特法)が失効した後も、同和行政を根本から見直さず、優遇策を続けてきたことに問題の根がある。
芦原病院の前身の芦原診療所は50年代に、部落差別の結果、劣悪な医療・衛生環境にあった地域住民のために開設された。民間病院だが、市の手厚い支援を受け、計130億円の無担保融資も受けている。
予算書から読み取れない不透明な融資の仕方も批判され、市は05年度から新規融資を打ち切った。資金繰りに行き詰まった同病院は昨年末、民事再生法の適用を申請した。
市が街路樹維持管理業務の委託を巡り、同和建設協会の加盟業者が指名競争入札で落札できるよう便宜を図っていた事件は今年1月、大阪地検特捜部の捜査で明らかになった。
ある市職員は「同和地区の業者育成が狙いだった」と語り、明文規定のないヤミのシステムは摘発されるまで連綿と続いていた。
今回の西中島駐車場をめぐる特異な契約も「根は同じだ」と市職員は言う。04年の市議会で「市民の批判に耐えない人権行政、同和行政が続いている」と指摘された時は、「地域で運営できる団体を探した結果だ」と答弁していたが、今になって「同和対策の側面があった」と認めた。
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