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日弁連は枠組みが先にあり気とすべきでない

鳥取県議会が人権条例停止条例を可決

03/25   山陰中央新報

 鳥取県議会は二十四日、鳥取県人権侵害救済推進条例を抜本的に見直すため、施行を停止する条例を全会一致で可決した。国の人権擁護法案に先駆けたはずの全国初の人権救済条例は、六月の施行を前に、成立から五カ月で全面的な見直しに向かう。

 停止条例は他の議案とともに本会議で一括採決され、全員が賛成した。見直しの期限を定めていないため、見直しに伴う予算に「検討期間を必要最小限とする」との付帯意見を盛り込んだ。

 今後の見直し作業は、四月に弁護士や学識経験者など十三人で構成する「人権救済のあり方検討委員会」を設置し、同和問題関係者や障害者など人権問題の当事者から聞き取り調査をし、県内の実態を把握する。

 その上で救済方法を検討し、県民の意見も聞きながら条例の見直し案を作る。

 人権救済条例は差別的言動やひぼう・中傷など幅広い人権侵害を救済対象とし、公表、過料などの罰則も科す。二〇〇四年十二月の執行部案を基に、〇五年十月に議員が一部修正して共同提案し、成立した。

 しかし、鳥取県弁護士会や日弁連などが定義のあいまいさや表現の自由、罰則規定などに問題があるとして条例の改廃を強く求めてきた。このため、「弁護士の協力が得られず運用は極めて困難」(片山善博知事)と、県が停止条例案を今議会に提出した。

 条例の施行前の停止は鳥取県政史上初めて。


日本経済新聞
鳥取県人権条例、無期限凍結を決定・鳥取県議会


 憲法が保障する「表現の自由」を侵すなどと批判を浴びた鳥取県の人権侵害救済条例の施行を無期限停止する条例が24日午前の同県議会で可決、成立した。県は条例見直し検討委員会を設けて改正作業に入るが、抜本見直しに必要な人権侵害の事例確認などに時間がかかる見通し。施行凍結が長引けば事実上、条例は廃止となる可能性もある。

 人権条例は国の人権擁護法整備が進まないことなどを背景に、差別など司法的解決の対象になりにくい人権侵害を県独自に救済しようと昨年10月、鳥取県議会が全国に先駆けて議員提案による条例として制定した。

 条例によると、弁護士らで構成する人権侵害救済推進委員会を設置して被害者救済に当たり、委員会の調査に加害者が協力しない場合、5万円以下の過料や氏名公表などの強制措置を取ることができるとしている。


朝日新聞

人権条例を無期限凍結 鳥取県議会

 鳥取県議会で24日、昨秋に成立した「県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」の6月施行を無期限で凍結する条例案が全会一致で可決され、成立した。県は弁護士や識者から成る「条例見直し検討委員会」を4月にも新設し、県内での人権侵害の実態調査や人権救済条例修正に向けての議論を始める。県議会側は採決に当たり、県になるべく早く修正するよう求める付帯意見をつけたが、抜本的な見直しには時間がかかりそうだ。

 検討委が今後進める実態調査では、同和問題▽女性▽障害者▽子供▽高齢者▽外国人▽病人▽個人のプライバシー▽その他――の9項目について市民団体への聞き取りなどをする。ただ、調査でどんなデータが集まるかは想定できず、「どうまとまるか分からない」(片山善博知事)との理由で、調査の期限も定めていない。

 これまでは、県が条例運用で協力を求めている県弁護士会(松本光寿会長)が、「加害者への強制措置は憲法違反の可能性がある」「行政機関の人権侵害に甘い」などとして強く条例改廃を求めてきた。一方、日本弁護士連合会は人権救済制度の必要性は認めており、両者の間で今月、条例への基本的立場について意見のすり合わせも始まっている。日弁連内の「政府から独立した人権救済機関設置に関するワーキンググループ」で検討し、人権救済のあるべき姿について統一見解を出す予定で、県の見直し作業に影響を与えそうだ。

 県は人権侵害の実態調査を受けて、「あいまいだ」と批判の的になった現条例の人権侵害の定義や類型をどうするか検討するとみられる。また、5万円以下の過料や氏名公表など、加害者に対する強制力を条例に残すかどうかも焦点となる。

〈キーワード〉鳥取県人権救済条例 全国に先駆けて昨年10月に成立した。民族、信条、性別、身分、障害などを理由とした差別的取り扱いや社会的信用を低下させる目的でのひぼう中傷などを「人権侵害」と定義。弁護士ら5人からなる第三者機関の人権侵害救済推進委員会が申し立てを受け、当事者に事情聴取や情報提供を求める。加害者が正当な理由無く協力を拒んだ場合5万円以下の過料になるほか、是正勧告に従わないと氏名や住所が公表される。



中国新聞

人権条例を無期限停止 

 鳥取県議会は二十四日、県人権侵害救済条例の六月施行を無期限停止する条例案を全会一致で可決した。昨年十月の可決・成立以来、県内外から批判を受けた人権侵害救済条例は、施行前凍結という異例の事態となった。

 条例施行凍結を受け県は、四月にも弁護士や有識者など十三人前後でつくる検討委員会を設置。県内の人権侵害事案の実態調査を経て適切な救済手段を検討するなど、条例を抜本的に見直す方針。見直し事業費二百六十三万円を盛り込んだ新年度当初予算案もこの日、可決された。

 ただ、県議会内には無期限停止について「無期限では廃案になる可能性がある」との懸念の声が強い。県議会はこの日、見直し事業費に「速やかに実効性のある条例を施行すること」と意見を付けた。

 人権擁護法案に先行する全国初の同条例は県議三十八人中三十五人の共同提案で昨年十月に成立。だが県弁護士会が提案直後、(1)人権侵害の定義があいまい(2)表現の自由への抵触(3)公権力に甘い(4)過料や名前公表といった罰則規定が厳しすぎる―など問題点を指摘。県外事案でも被害者が県民なら救済対象など「地方自治法上、無効となる」(片山善博知事)条文もあり、県外からも批判を受けていた。

 片山知事は当初、運用面でのカバーに自信を示していたが、前提としていた県弁護士会の協力が得られなくなったため「(救済委員会に適任の)人を得られず運用困難になった」として方針転換。懇話会で聞いた弁護士らの意見を踏まえて二月、停止条例案を提出した。

 時間かけて最善の策を

 【解説】 全国に先駆けて成立した鳥取県人権侵害救済条例が一転、施行前の凍結という異例の事態となった。その背景には、救済対象が広く「運用次第で新たな人権侵害を生む」との懸念をぬぐい去れなかったことがある。一昨年十二月の知事提案を十カ月も継続審議した議会だったが、拙速との批判は避けられない。

 条例は調査・救済機関として人権救済委員会を設け、加害者に是正勧告をする内容。だが勧告に従わない場合の名前公表や、調査拒否に対する五万円以下の過料などの行政罰は、県弁護士会の言葉を借りれば、刑事罰に匹敵する厳しさ。あいまいな定義は、ちょっとした悪口でも調査対象となる懸念を生じさせる。

 議会側は法務局に寄せられた相談件数を基に「司法で救済されない被害者がいるのは明らか」と主張するが、結局根拠となるはずの県内で起こった人権侵害の実例を示せず、現状ではイメージ先行の感がある。県内のある弁護士は、現行法令で救済できない事例を「ない」と断言する。

 一方で部落解放同盟県連合会と連合鳥取など三団体が三週間で二万三千余の署名を集めるなど、条例早期施行を切望する人も多い。だが現行の条文では副作用の懸念がつきまとう。

 県は見直し作業に着手することになったが「改廃」を主張する県弁護士会と「廃止はあり得ない」とする議会では考え方に大きな隔たりがある。難航も予想され、県議の多くは「せめて来春の任期満了までに結論を」と希望する。だが、全国初の条例の行方は、他県に与える影響が極めて大きい。その意味では時間をかけてもよい。最善の結論を望む。





県人権救済条例 反対陳情を不採択 
朝日COMローカル2006年03月24日

  常任委員会で県人権救済条例について議論する県議=県議会で
 県議会の総務警察常任委員会は23日、県人権救済条例の修正や凍結を求めて市民団体から提出されていた陳情3件を「条例廃止の考えはない」などとして、いずれも不採択とした。
 県人権救済条例をめぐっては昨年10月の成立以降、県内外で反対の動きが広がっていた。開会中の2月定例県議会では、インターネットを介して結成された団体や共産党系の団体から条例に反対する計2万2484人分の署名簿が、前田宏議長に提出されていた。
 陳情は、県西部革新懇話会(足立節雄代表)▽真の人権を考えるインターネット有志の会(吉田将志代表)▽条例の改廃を求める県連絡会(船井昭一代表世話人)の3団体がそれぞれ代表して提出した。
 同懇話会の陳情は条例廃止に一部言及したため反対多数、条例廃止を前面に出していた残る陳情2件は、委員の全県議9人が不採択にした。

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