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人権でくくることの矛盾

知事定例記者会見(2006-03-27) 
http://www.pref.tottori.jp/kouhouka/kaiken/180327.html

鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例の見直しについて

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 人権条例のことなのですが、取材で今後の見直しとしては、司法へのアクセスの支援を重視したいし、司法になじまないものだけを対象にしていくと。お話を伺っていてかなり限定されるのだという印象を受けたのですが、知事の考えておられる司法的解決になじまないものというのはどういうものでしょうか。

●知事

 今のお話は、先週の議会で凍結条例が議決された後のぶら下がり[取材]だったと思うんですけど、私が断定的に申し上げているわけではないんです。これから見直しの委員会をつくって一から見直しをしようということになりますから、あくまでもその場で方向を決めていくということになります。

 ただ今回の一連の経緯にかんがみますと、やはり問題点が指摘された中で最も基本的なのは、地域立法するための事実が地域に存在していますか、存在しているとしたらどんな事実がありますかというところが一番問われたわけです。そうだとしたら、そこをしっかりと押さえなければいけない。

 その際にどういう押さえ方をするかということですけれども、一つは、三権分立の建前を崩すわけには、これはいかないわけです。したがって司法の領域に行政の方から司法に代わるものとして何か新しい仕掛けをつくるというのは、これは容認されないわけですよね。

 もちろん今の凍結された人権条例もそこまでのことは書いていないとは思いますけれども、でもそこのところを明確にしなければいけない。三権分立の原則を明確にするということは、本来はやはりトラブルの解決は、司法がその役目を負うということです。

 それを前提にして、しからば何らかの人権侵害事案が地域にあって、その中で司法的解決に至らないものがどんなものがあるのかということを押さえなければいけない。あくまでもやはり、仮に人権救済条例というものがまた抜本的見直しのもとに施行されるとした場合であっても、そういう司法に至らないものだけが対象になるのではないでしょうかと、こういうことを言ったわけですね。

 だからそれは、いろいろなものがあり得ると思います。これも抽象的な話になりますけれども、例えば、一つは事実の問題として司法へのアクセスが事実上閉ざされているような場合。例えば法曹が非常に逼迫をしていて活用できないとか。それは裏を返せば司法制度がうまく機能していないということもあるかもしれませんけれども。そういうことがあぶり出されてくるかどうかということが一つの焦点だと思います。

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 例えば人権条例の場合、裁判までに時間とお金がかかってくるということで、そういう人たちを救済しなければいけないということで、迅速、簡易、しかも実効性をもたせるということで罰則をもたせているわけですが、何か知事はいつも準司法機関というふうに救済機関を位置づけられてきたんですけども、我々としてはかなり司法と行政との線引きが難しいような印象をずっと受けてきたんですけれども。

●知事

 多少ファジーな面はあると思います。

 それは今でも、例えば人事委員会の調停だとか仲裁だとか、それから労働委員会にも同じようなものがありますよね。国だったら公正取引委員会だとか、その審判制度なんてありますけれども、その辺が準司法機関なんです。

 だから多少、行政と司法との間の接点みたいなところがあるので、ややファジーなところはあるんですけれども、いずれにしても司法と行政とは役割が基本的には違うんですよと。

 そこで、ただ境界線上でニーズがあるとすれば、そこに準司法機関の役目があるという前提のもとで、どんなものがあるかということを探るということだと思います。だから変わるというわけではないんですよね。司法に取ってかわるということはあり得ないわけです。

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 でも、これまで県民の受け取り方としては、迅速、簡易な司法機関というようなとらえ方をしていたのではないかなと思うんです。

●知事

 司法ではないですよ。手続は準司法的手続をとると。

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 そうすると、かなり限定された、かなり絞られてくるということになりますよね。

●知事

 わかりません。見直し検討委員会でどういうことになるかですね。私なんかはそういう気持ちを持っていますけれども、これは一から予見なく見直しをしましょうということになっています。

○朝日新聞 別宮潤一 記者

 議員から出された附帯意見の中に、実効性のある条例をできるだけ早くつくることという、実効性という言葉が入っていたので少しこんがらがったのですが、これは今後、県の修正作業に影響を及ぼすようなことはあるんですか。

●知事

 わかりませんね、それは。よく意味をまた聞いてみないといけませんね、実効性あるというのはどういうことか。

○朝日新聞 別宮潤一 記者

 それはつまり行政罰というか、過料とか、氏名公表の部分に当たると思うんですが、知事は、以前はなくしてもいいというお話だったんですが、なくしたときに実効性を担保するために、では何らかの方法が必要なのかとか、そういう方法というのは。

●知事

 いや、なくしてもいいということになると、そういう意味での、今おっしゃったような間接強制手段をもって実効性を担保するということは薄れてくるでしょうね。ただ、それは選択の問題だと思います。だから議会の方が、あくまでも実効性ということが間接強制手段も兼ね備えてという意味であれば、それはかなり見直しの方向というのは限定されてくるでしょうけれどもね。

 ただ私が何回も議場で申し上げましたように、とにかく間接強制手段の是非の問題も含めて、一から見直しをしたいということで承認されているはずですから、そういう附帯意見というものがあったからといって、必ずしもそれに拘束されるわけではないと思います。

 参考にはする可能性はありますけれども。いずれにしても、どういう見直しをするにせよ、また議会に戻すわけですから、見直しした案は議会にまたもう1回出すわけですから、そこでまた議会で是非を検討されたらいいと思います。一方的にこちらが全部決めて条例をつくるわけではありませんので、条例はあくまでも議会が最終的にはつくるわけですから。

○共同通信社 石塚信弘 記者

 検討委員会なんですけれども、県外の学識経験者から、例えば手が挙がったりした場合も含めて、どういう人選を考えていらっしゃいますか。

●知事

 わかりません。公募というのは余りないと思います。あくまでも鳥取県内の実態を踏まえて地域立法をどうするかという検討委員会ですから、全国に呼びかけて公募するなんていうことはないと思います。それは国がやられたらいいと思います。国の法律、国法を論ずる場合に国がされたらいいと思います。

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 今回はもう、4月早々にも立ち上がっていくわけですか。

●知事

 まだわかりません、これは。どういうかたに入っていただいてというところからスタートするわけですけれども、相手のある話ですから、こちらが一方的に決めて任命するというわけにはいきませんから。

○毎日新聞 松本杏 記者

 意見交換会のときにメンバーをお決めになるのではないですか。

●知事

 わかりません、それは。全く無関係ではありませんけれども。いずれこんな人選というのは案がまとまりましたら、またお知らせすることになると思います。

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 司法になじまないものというので、この間、有識者の懇話会のときに、司法になじまない人権侵害問題ってありますかと言ったら「ありません。」と言われたんですけれども。

●知事

 法曹の人が?

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 はい。つまり時間とお金の問題ですよと言われたんですね。

●知事

 原則的にはそうですよね。日本ではトラブルの解決というのは司法でやるということですから、理屈はそうです。

 ただ現状を見てみますと、なかなか今の司法の力量といいますか、司法インフラというものと、その運用の実態から見ると、全部を司法で解決、吸収できない実態があればこそ準司法機関というのが国にも地方にもあるし、また今度、ADR[裁判外紛争解決手続]という、選択的論争解消機関という、民間もこれをやるということになるわけですが、そういうものが必要となる実態があるんでしょうね。

 だから、理屈と実態とは少しずれがあるということでしょうね。もしどんな軽微なものでも全部司法で解決できますということだったら、準司法機関は要らないでしょう。ましてADRなんて要らないですよね。

○山陰中央新報社 弥重節子 記者

 そうすると、今度はADRとその救済機関との関係もまた見直さなければいけなくなってきますよね。

●知事

 基本的には、今ある人事委員会の機能とか紛争解決機能とか労働委員会の労働紛争の解決機能なんていうのはADRなんですよね。裁判とはもっと別の選択肢としての紛争救済機関ですから。ただ、ADRの場合は、一定の要件を備えて政府の承認を得た場合には民間ができますよというところがポイントなんです。

 したがって、それがどういうものが出てくるか。いずれ出てくるでしょうけど、どんどん出てくれば、既存のその労働委員会とかも含めて、公が提供している準司法機関というものの役割というか、任務というのが見直される可能性はありますよね。そういう問題だと思います。

○共同通信 石塚信弘 記者

 停止条例が可決してから、弁護士会とは何か話し合いを持たれましたか。

●知事

 いや、まだ私は話はしていないです。昨日の今日ですから。金曜日の、今日は月曜日ですから。

○共同通信 石塚信弘 記者

 それは、委員会の委員の選任などを通して県の方から呼びかけていくという?

●知事

 これからどうなりますかね。もう具体的にそういう作業に入るのか、それとも今までの経緯について何か意見交換、私がというわけではありませんけど、意見交換でもして、その考え方とかを整理、すり合わせをするという作業があるかもしれませんけど、まだちょっと決めていません。

 弁護士会の方が私たちに直接というわけではありませんけども、外部に対してこの人権救済条例の凍結を議会が決めたことに対してのコメントを寄せられていますよね。

 ですから、これから恐らくこの問題についてもフレンドリーに話し合いができる環境ができたと思います。この問題についてもフレンドリーにというのは、基本的には弁護士会と我々はフレンドリーな関係なんです。

 ただし、個別の問題になるとこれは是々非々ですから、この人権救済条例については、人権救済委員会の委員に弁護士を派遣というか、そういうことはできませんよという、そういう個別の問題ではフリクションがありますけれども、基本的にはフレンドリーなんです。

 だけど、今回の見直しということになると、これもフレンドリーに見直し作業に入れるだろうと、こういう感想を申し上げているわけです。

○NHK 寺井数美 記者

 知事のこれまでの議会答弁の中では、弁護士会からの協力が得られるだろうという発言をしていらっしゃいますけども、見直しに当たって、知事がその県の弁護士会のかたがたに求められる一番基本的なところはどういうところですか。

●知事

 率直に意見を言っていただくことですね、出し惜しみせずに。

 出し惜しみせずにという意味は、おととしのことになりますけども、パブリックコメントのときに全く意見がなかったということを踏まえてのことなんですけど、もうそんなことはありませんので、今回これだけの事態の推移を経た上での見直しですから、懸念はないと思います。

 率直に忌憚のない意見をおっしゃっていただいたらいいと思いますし、もう一つは、地域立法を必要とする事実確認、事実の把握をやろうとしていますから、どういう形でこの人権問題の事実の確認とかを把握できるかという、その手法とか情報源とかやり方とか、そういうものについてぜひアドバイス、意見をいただきたいと思っています。

○NHK 寺井数美 記者

 議会の中でも出ていましたけど、こういう情報をつかんで、そういう情報が表になかなか出てきにくいのではないかという御指摘もありましたけど。

●知事

 そのとおりだと思います。実名でこの一つ一つの事例を分析していくなんていうことになりますと、これは恐らくまた新たな問題が生じるでしょうから、ではどういうやり方がありますかという、そこから検討しなければいけないと思います。

○共同通信 石塚信弘 記者

 委員会が検討作業に入ってきている場合に、それを県民にどういうふうに公開というか、説明されていくんでしょうか。

●知事

 基本的には、委員会のその検討過程というのはオープンだと思います。

○共同通信 石塚信弘 記者

 公開という意味ですか。

●知事

 公開だと思います。その中に、例えば事実確認の何かのプロセスの中において、例えばプライバシーの保護の問題とかが個別に仮に生じたとすれば、そのときに個別断片的に何か特別な扱いをすることはあるかもしれませんけど、基本的には公開の場で行うということになると思います。

 鳥取県は、いろいろな審議会とか検討委員会なんかは全部公開なんです。だから、その基本的な原則の中でやることになると思います。

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