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鳥取人権条例/廃止もありうる・知事

県人権救済条例「凍結可決」 知事、廃止も示唆
(2006年3月25日  読売新聞)

県人権救済条例の停止条例を全員賛成で可決した県議会

 24日の県議会で無期限の施行停止条例案が可決された県人権救済条例。県内の人権侵害の実態調査など、4月から始める見直し作業を巡り、県議会は「見直し期間を最小限にし、速やかに施行を」と付帯意見をつけたが、片山知事は調査結果次第では廃止もあり得るとの考えを示唆した。国の立法化を待たず、全国で初めての人権条例として注目された同条例だが、関係者からは「凍結は当然」「よりよい救済制度を」などの声が相次いだ。
 県議会はこの日、条例の施行停止などを全員賛成で可決した。ただ、知事や県議の任期が切れる来年4月までに見直しを終えるべきとの意見は多く、「救済を求めている県民は大勢いる。見直しに要する期間は必要最小限とし、速やかに実効性ある条例を施行すること」とする付帯意見をつけた。
 また、条例廃止などを求めた陳情3件については「条例は速やかに見直し、施行する必要がある」として不採択とした。
 採決後、片山知事は「弁護士会などの意見を聞きながら一から見直したい。どのぐらい時間がかかるか分からないが、人権侵害の実態が全くなければ条例は必要ないことになる」と、廃止の可能性すらほのめかした。条例制定直後の昨年10月、定例会見で「議会で成立したものを施行しないとなれば、法治国家の根幹が崩れる。運用して問題があれば、マスコミや議会のチェックが入り、必ず是正される」などと語った時に比べ、明らかに慎重さがうかがえた。
 今回の条例凍結案可決を受け、松本光寿・県弁護士会長は「県議会の柔軟な対応に敬意を表す。今後、問題点が抜本的に見直されるよう期待する」との談話を発表した。
 一昨年12月に県が出した条例案の策定にかかわった国歳真臣・鳥取大名誉教授(社会学)は「実態調査はだれを対象に、どんな項目を調べるのか。短期間でできるとは思えない難しい作業。真剣に取り組んで、被害者と加害者の和解を促すような救済制度を作ってほしい」と語った。
 条例を批判してきたジャーナリストの櫻井よしこさんは「凍結は当然」と評価。県の実態調査については「人権擁護法案をめぐり、与党が実態について法務省に問い合わせたことがあったが、ほとんど具体的な例が挙がってこなかった。県の調査でどれほどの実例が出てくるか、見守りたい」と話している。
 一方、百地章・日本大教授(憲法学)は「『人権救済』の名の下で、逆に人権侵害が行われる危険があった条例。施行停止という鳥取県の事態を踏まえ、国の人権擁護法案の制定も断念すべき」と述べた。


県人権救済条例:弁護士会の協力得て「やれることを早速」-知事表明 
毎日新聞 2006年3月25日

 昨年10月の成立から約半年で抜本的見直しを求められた県人権救済条例は、6月の施行を待たずに無期限で凍結された。県議会(定数38)は24日、県が提案した同条例の施行停止条例案や見直し検討委員会の運営費を含む新年度当初予算案を全会一致で可決。片山善博知事は「できるだけ早く県弁護士会の協力を得て見直し作業に着手したい。やれることは今日から早速始めたい」との考えを述べた。県によると、停止条例が成立したのは初めて。
 
 この日の県議会本会議で、総務警察常任委員会の斉木正一委員長が、条例案や検討委の運営費予算を全員一致で原案通り可決したと報告。前田宏議長が他の議案とともに一括で採決を求め、全会一致で可決、成立した。
 一方、検討委のあり方に対し同常任委が添えた「検討過程の透明性・中立公平性を確保し、期間は最小限にする」との付帯意見は、賛成34人で可決。知事と県議の任期満了となる来年4月までに見直しのめどを立てたいとする県議に対し、任期にこだわらない考えを示している片山知事は「だらだらやるものではない」とした。
 ただ、無期限停止が廃止につながるとの県議の懸念には「予断を持たずにやる」と明言を避け、県内で発生した人権侵害の検証次第では廃止もあり得ると含みを残した。
 今後の作業について、片山知事は「県弁護士会の協力が必要」と、同会の意見を尊重して検討を進める方針を強調。「10、11、12…3月。6カ月かかったんですねぇ」と感慨深げに述べた。


人権条例の凍結案可決 無期限知事押し切る
朝日ローカルCOM2006年03月25日

県人権救済条例を凍結する条例案の採決で起立する県議=県議会の本会議場で

 県議会で24日成立した、県人権救済条例の凍結条例案。条例修正のために無期限の凍結を主張した片山善博知事と、明確な期限を求めた県議側の攻防は結局、片山知事が押し切る形になった。「修正の困難さは分かるが、人権侵害に泣く人を放っておいていいのか」。全会一致で凍結条例案を可決したが、ジレンマに悩む県議もいる。
 「条例をどう修正するか、あるいは廃止か。今後始める人権侵害の実態調査を通して予断を持たず考える」。凍結条例案の成立後、片山知事は淡々と話した。「見直しに要する期間は必要最小限に」と求めた県議会の付帯意見に対しても「当たり前」と受け流した。
 2月県議会では人権救済条例についての質問が相次いだ。長岡和好県議(公明)は「4年も条例を議論しており、来年4月の県議の任期満了までに結論を出すことが義務だ」と強調する。だが、「(法曹の協力を得る条例にするには時間がかかるという)知事のかたくなな姿勢を崩せなかった」。
 会派「信」は条例案修正で期限を付ける検討もしたが、伊藤保県議は「毎回の県議会で条例修正の進み具合を厳しく監視する方針に決めた」という。
 当初から人権救済条例に反対してきた浜田妙子県議(きずな)は「人権侵害の現場を知る試みが全くなかった」と県や県議会の対応を批判。今後始まる実態調査を歓迎している。
     ◇
 一方、日本弁護士連合会は今月、県人権救済条例を題材にした「あるべき人権救済制度」の検討を始めた。これまで同条例の改廃を求めており「(中央と鳥取県で)温度差はある」(日弁連幹部)という県弁護士連合会(松本光寿会長)も検討に加わり、同条例に対する基本姿勢を日弁連とすり合わせる。
 人権救済制度での強制力の是非や人権侵害の定義などを議論するのは、日弁連の「政府から独立した人権救済機関設置に関するワーキンググループ」。日弁連人権第1課によると、委員7、8人が月1回ペースで議論するが、いつまでに結論を出すかは未定だ。

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