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鳥取の逆流を許さない

鳥取県人権救済条例の施行停止案をうけ、下記の談話を発表

http://homepage3.nifty.com/zjr/topics41.htm

2006年2月2日

全国地域人権運動総連合
    事務局長 新井直樹

 鳥取県は2月1日、鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例 (「人権救済条例」)の無期限で施行を延期する条例案と、学識経験者など13人による「条例見直し検討委員会」を設けるための予算措置を議会側に説明しました。 これは、昨年10月に全国で初めて「人権救済条例」が制定されて以降、県内外から以前にも増して危惧や批判の意見が盛りあがり、廃止を求める運動が高まりをみせたことの反映です。

 そもそも、現行の政府や自治体による人権擁護の仕組みなどには、実効性など多くの問題が指摘されてきました。 求められる新たな人権侵害救済機関は、(1)「人権委員会」は国連パリ原則にのっとって政府(行政)から独立した機関とし、委員の人選、運営、予算の面でも独立性が担保できるようにする、(2)人権救済の強制調査の対象は、憲法上の基本的人権及び国際人権条約で規定されている権利の侵害、すなわち国家・行政権力や社会的権力(大企業など)による人権侵害に限定し、報道や国民の表現活動を規制したり私人間の領域に立ち入るものとはしない、(3)新たな立法行為に対して人権アセスメントを導入し、法律による人権への影響を事前にチェックする機能も持たせる、ことが必要要件です。

 しかし、2002年以来政府が提案する「人権擁護法案」は、これらの要件を満たしておらず、人権や差別の定義も曖昧で、「差別禁止」の名の下に言論表現の自由が侵害されかねない代物で、多くの国民のみならず与党内からも異論がだされ、宙に浮いたままになっています。

 こうした情勢にありながら、鳥取県では、県議会で継続審議とされてきた「条例案」であるにもかかわらず、論点を十分改善見直しすることもなく、政治的に成立をはかったものです。 よって、県内外から、言論表現や報道の自由、真の人権侵害からの救済機構を求める立場からの批判が巻き起こったのは当然の成り行きです。 全国人権連も改廃を求めて、県や県議会に要請文を提出したり、石岡議長他の役員などで直接見直しを迫るなど、問題の本質にある同和問題の解決点と「解同」のよこしまな狙いを暴露する、積極的な活動を進めてきました。 こうした世論に押されて、片山知事も2回にわたる懇談会の議論を真摯に受け止めざるを得なくなったものです。

 しかし、「(部落)差別規制」を法律や条例として制度化することを執拗にはかる「解同」の動向は軽視できません。 「解同」の狙いは、同和対策事業が終了することとの関連で用意されてきた「人権」という土俵での「啓発」「教育」「侵害救済」という事態を利用して、特に中央・地方の「人権委員会」を牛耳るなどして、今後も各種人権政策・制度のもとで権益を得る足がかりを確保することにあります。 「解同」は、国民の内心に係わる「意識」を問題にし、言論表現活動や私人間の領域に強制的に立ち入り、違法な「確認糾弾」をいまも自治体の庇護の下に行い、人権侵害を生み出していますが、法律や条例はこうした「民間との連携」の名で違法な行為を合法化し、国民分断の策動に対する批判を許さない状況を作り出そうとするものです。

 今後、鳥取県では「検討委員会」が設けられ、同和問題、障害者、高齢者などの各人権団体から人権侵害の実態を聞き取り、10回程度の会議で修正内容を詰めるようですが、検討委員会人選の公平中立性の確保、委員の公募枠の設定、会議や議事録の公開、ヒヤリング団体・個人の公募や意見募集など、民主的な手続きを十分ふんで、県内外の信頼と期待に応えるべきです。

 県が4月から予定する人権侵害の実態調査では「現在の行政や法曹、民間の取り組みで救済されていない人権侵害があるか探す」(県人権局)といい、一件一件の実例を集めていく方針と言われます。 また、そうした実例を基に、加害者への罰則が必要かどうかなども精査するともいいます。

 24日開会の2月議会は大変重要な局面になります。 知事提案通りに行くかどうか、また不十分な提案内容を豊かなものにするために、鳥取の人権連準備会や「改廃を求める連絡会」などとも連携をはかり、逆流を許さないために取り組みを強めるものです。

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