憲法問題は正念場
月刊誌「地域と人権」
06年1月5日号 所感雑感
公的医療費を縮小するために公的保険の給付範囲を縮小したり、混合診療を導入したりすると、結局「公私二階建て化」になる。年金・医療、介護でも、「公私二階建て化」が進めば進むほど、「私」の部分は民間保険に委ねることになる。そうすると、民間保険に加入できる上層と下層の福祉や給付の範囲が大きく異なってくる。日本の自民党政治がかつて行ったことがないような「階層型社会・階層型政治」が意識的につくられる。」(自治労連・地方自治問題研究機構 No.57/2005.11.11「総選挙と構造改革・憲法」を語る 渡辺治・一橋大学教授)
「小さくて効率的な政府」の実現を謳い文句に公務員制度改革が狙われている。多国籍企業支援型の官僚機構は残すが、膨大な国民経済の支援と福祉的な支援のための行政・官僚機構を解体し、総人件費の半減を行う。そのため「市場化テスト」の導入。「指定管理者制度というのは一つの特定の事業を民間に委ねるという話であり、市場化テストというのは1省庁丸ごとだ」と言う。社会保険庁の局化を小泉は拒否したが、福祉国家的な行政を担っている分野を、民間と競争させて公共部門から丸ごとはずしていくということ。こういうかたちで総人件費半減をやっていくんだと。
さらに医療制度改革と社会保障制度の一体的な改革。「マクロ指標管理」。要するに経済成長率に合わせて-賃金の生産性基準原理と同じ-医療の総費用をその枠内に入れると。そのためのミクロとして診療報酬の5%削減や、保険給付範囲の縮小。社会保障を都道府県単位に一体化していく動き(生活保護法を全部都道府県単位に押し付け)に。
渡辺氏は、「憲法9条改悪反対の運動を本当に盛り上げていくためには、向こうが軍事大国と富んだ人々の階層型社会というのを非常に明確に示しているときに、私たちが平和と平等の国家、平等の社会を掲げてやっていくことが重要です。そうでない限りじり貧です」と展望を示している。
憲法改正による「大都市部の上層を主力とする構造改革期待層」の要求に応える国家体制への変質が07年を焦点に。自民・民主のキャッチボール選のため比例制の廃止も言われる。地方自治・住民自治の広範な運動をどう前進させるか。
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