人権擁護法案の動向
月刊誌 「地域と人権」
05年12月号 所感雑感
杉浦法務大臣は11月2日、マスコミの取材に対し「あのまま出したらつぶれるのは分かっている。成立できる案を出さないといけない」と述べ、次期通常国会への提出にはこだわらず政府案を抜本的に見直す必要があること、与党の議員が中心となって検討を行うことを提起している。
しかし、17日に全国自由同和会が開いた集会で、自民党人権問題等調査会長の鈴木俊一・衆議院議員は「人権擁護法案は、与党、政府並びに自由同和会の皆様方の長年にわたる取組の集大成であり、私といたしましても、人権問題等調査会長として、党内のご理解を得て、早期に法案を提出できるよう努めてまいりたいと考えております」と「次期通常国会での成立に意欲を示した」という。
一方で「解同」・民主は、来年の通常国会に提案させるべく「与党内で検討をさらにすすめる、早期に提出できるように努める」という「小泉」答弁(9月29日)を引き出している。そして「法の必要性」を働きかけてゆくこと、「鳥取の成果を全国化」してゆくことを表明している。(11月7日付「解放新聞」)
その鳥取で片山知事は14日、弁護士を中心とする有識者で作る規則制定委員会を設けると表明し、「いくつかの会派から条例施行前の見直しを検討したいとの意見表明があった」ことを明らかにした上で、「結果的に県議会が修正せず、会で出た意見の行き場がない時は(県)独自の改正案を出すことがあり得る」と語り、施行前の改正案提出の可能性を初めて示した。反対世論を無視できないからだ。
人権は本来、全国的な統一基準で守られるべきものであり、マスコミ報道では法務省の幹部ですら、「人権救済は全国一律、平等に行うべきであり、地域でばらばらの対応になるのは好ましくない」とコメントしている(14日の全国人権連と省との交渉でも同様の立場が述べられた)。解同条例が多く制定されている福岡・長野・広島などで、現時点で鳥取のような「解同」主導の「人権侵害」機関設置条例を制定しないとの表明がなされている。
国は地方段階で委員会の設置には問題があるとして認めてこなかった真意は、鳥取のような事態を想定してのことか。
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