権利の制限
月刊誌「地域と人権」
05年10月5日号 所感雑感
自民・公明の与党が衆議院で327議席、定数480の3分の2を占める特別国会が11月1日まで行われる。郵政民営化法案以外にもテロ特措法改正や障害者に応益負担を求める法案、実行行為がなくても「共謀」を罰する法案など、先の国会で廃案になったものが審議にかかるという。
一方、自民党の中川秀直・国対委員長は18日テレ朝の「サンプロ」で、人権擁護法案に関し「まだ提出されていませんが、提出されてくると思いますし、ご懸念の無いような法律で解決しないといけない」と発言。櫻井よしこ女史は、安倍晋三しか反対者が残っていないと成立への危惧を漏らしていた。
こうした悪法以外にも、税制改悪、憲法改定(改悪)の段取りが議論される事態にある。
この4月、衆参それぞれの憲法調査会は議長に報告書を提出した。マスコミは「新しい人権」(プライバシーの権利、知る権利、環境権等)を喧伝した。しかし、この「権利」の保障規定を欠いていることで如何なる法的困難があるのか、また現実の問題が如何に解決されるのかも示されず、憲法改正「発議」の念仏とされる。
近年の憲法体系書では、これらの人権はその人権の性質に応じて該当箇所に収められるか、包括的人権ないし幸福追求権として扱われるかのいずれかになっている。
つまり憲法解釈による人権の再構成は現憲法下でもすでに為されてきたことであり、憲法改正を必要とするものではない。
しかし自民党の新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)が8月1日に発表した「新憲法第一次案」は、「自衛軍」を突出させ、現憲法の「公共の福祉」を、すべて「公益及び公の秩序」という「国益」優先・「秩序」維持の国家的軍事的観点を強調するものに変えている。
もとより近代憲法は、絶対王政の国王の権力を制限するところから生まれ、国家権力を制限し国民の自由を保障するもの。立憲主義という、政治権力を憲法にもとづいて行使するという考え方であるが、今日では国民を管理する道具に貶められている。
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